2009 Fiscal Year Annual Research Report
ベトナム二輪車産業における部品取引関係と地場部品企業の成長
Project/Area Number |
20510243
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Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
藤田 麻衣 Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization, 地域研究センター東南アジアII研究グループ, グループ長代理 (50450507)
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Keywords | ベトナム / 二輪車産業 / 部品取引関係 / 部品企業 / 能力 / 中国 |
Research Abstract |
ベトナム二輪車産業は伝統的に日系二輪車企業の寡占市場であったが、2000年代初頭、中国製品が大量に流入する「中国ショック」を契機として、模倣車の生産を手掛ける地場組立企業が多数参入し、市場をめぐる企業間競争を通じた成長のダイナミズムがもたらされた。本研究は、同産業における部品取引関係の変容および地場部品企業の能力構築のプロセスとダイナミズムを解明することを目的としている。 平成21年度には、(1)二輪車企業の部品取引関係の変容、(2)サプライヤーの能力構築のそれぞれについて分析を進めた。(1)については、ベトナム地場組立企業のうち近年まで存続している5社を対象とした事例考察を行い、(1)地場組立企業の部品取引は、参入当初から標準化された部品の市場取引という性格が強かったが、日系二輪車企業との競争の激化など市場・政策環境が変化した後も依然として市場取引が継続する傾向がみられること、(2)これは、品質向上の必要性の高まりとともに市場取引から徐々に統合型組織へのシフトがみられる中国とは異なった変化の方向であること、(3)この違いは、両国の産業基盤や企業の能力の違いによって説明されること、を明らかにした。以上の成果は、日本語論文(以下11.参照)および英文ディスカッションペーパーとしてとりまとめた。 (2)に関しては、平成20年度に実施した地場部品企業21社の調査結果の分析を進め、各社の1990年代以来の能力構築の経路、および、能力構築の過程における知識の源泉および獲得方法を整理した。日系二輪車企業および地場組立企業の間の競争を通じて部品取引関係に変化が生じたことにより、地場部品企業の参入の余地、二輪車企業の部品企業に対する品質等の要求のレベルや支援の有無に変化が生じた一方、それらを自らの能力構築に活かすことができたか否かは多分に部品企業側の学習戦略や活動によっていることが明らかになった。
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