2008 Fiscal Year Annual Research Report
更年期女性の微小血管性狭心症の病態解明と漢方治療の確立
Project/Area Number |
20510248
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
中川 幹子 Oita University, 医学部, 助教 (50244182)
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Keywords | 微小血管性狭心症 / 漢方薬 / 女性 / 更年期 / 性差医療 / 血管内皮機能 / 東洋医学 / 冠血流予備能 |
Research Abstract |
【目的】冠動脈の太い血管には狭窄がなく、冠動脈の微小循環障害により起こると考えられている微小血管性狭心症は中年女性の胸痛の原因として注目されているが、確立された診断法や治療法はない。その診断には経胸壁心エコー法を用いた冠血流予備能の測定が有用である。一方、漢方薬の桂枝茯苓丸は微小循環障害に起因する各種の病態に有効であるが、冠血流に対する影響を検討した報告はない。 【方法】我々は若年健常男女各6例(平均年齢23.2±0.4歳)を対象に、以下の検討を行った。 1.経胸壁心エコー法を用いてATP負荷冠血流速度を測定し、冠血流予備能を評価、 2.血流依存性血管拡張反応(FMD)を用いた血管内皮機能の測定。 まず、冠血流予備能および血管内皮機能の性差(男性対女性)および若年女性における性周期(卵胞期、排卵期、黄体期、月経期)の影響を検討した。さらに桂枝茯苓丸(TJ-25,2.5g)の冠血流予備能と血管内皮機能に対する急性効果を検討した。 【結果】冠血流予備能と血流依存性血管拡張反応には明らかな性差や性周期の影響は観察されなかった。桂枝茯苓丸の内服2時間後には、ベースラインの冠動脈血流速度は有意な変化を認めなかったが(18.3±1.5vs20.4±1.8cm/s,p=0.1)、最大反応性充血時の冠動脈血流速度は有意に増加し(57.2±4.5vs70.5±5.4cm/s,p<0.05)、その結果、冠血流予備能を有意に増加した(2.6±0.2vs3.6±0.2,p<0.05)。 【考察】桂枝茯苓丸は正常な冠血流予備能を増加する可能性があることより、微小血管性狭心症の治療薬として有用性が期待される。
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