2008 Fiscal Year Annual Research Report
復興期における女性の政治参加:紛争とジェンダー秩序の転換-ネパールを事例に-
Project/Area Number |
20510252
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Research Institution | Asai Gakuen University |
Principal Investigator |
相内 眞子 Asai Gakuen University, 人間福祉学部, 教授 (60281771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幅崎 麻紀子 北翔大学, 人間福祉学部, 講師 (00401430)
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Keywords | 紛争 / ジェンダー / ネパール / 政治参画 / 米国国際開発庁 |
Research Abstract |
本研究は、ネパールを事例に、紛争を、既存のジェンダー構造を転換するエネルギーを持つダイナミクス、そして、女性の政治参画を生み出す転換点として捉え、これまで政治と遠い世界に生きてきた女性たちを政治運動に駆り立てた要因を探るものである。 本年度は、女性団体の活動を概観すべく、新たに政治活動を展開し始めたグループに密着し、グループ間ネットワーク、グループ内ネットワーク、そして、活動を支える背景についての聞き取り調査を行った。その結果、民族・カーストといった属性から組織された、言わば、従来型の女性グループが、既存の枠組みを越えて、グループ間ネットワークを構築して政治活動に参画していることや、女性ネットワークが、政権与党等の政治団体の支援を受けずに、政党と距離を保ちながら活動していることが解った。更に、活動する女性リーダー達の特徴も明らかになった。教育歴の高さ、地元でのNGO活動やカトマンズでの国際NGO活動経験、NGO活動に従事する中での高等教育経験、家庭環境、特に生家の環境が、NGO活動への参加を左右する大きな要素となっている点等が、特徴として浮かび上がってきた。 また、アメリカ政府の対外支援政策は、ネパールの政治社会に大きな影響を与えてきたが、特にUSAID(米国国際開発庁)は、ネパール社会の伝統的性役割規範の克服や女性の教育機会の向上に貢献してきた。クリントン新国務長官の下で途上国の女性に対する支援強化が期待されることが、同庁担当者への面接調査で明らかになった。 これらを踏まえ、H21年度は、よりミクロな研究を進めるべく、WAPPDCA (Women Alliance for Peace,power, Democracy and the Constituent. Assembly)の中で、特色ある活動を続けるWHR、FEDO、FATIMAに焦点を当て、活動データと成員のパーソナルヒストリーを収集し、活動を支える組織的個人的資源について検証する。また、米国における調査では、政権交代による途上国支援政策の変化を、「紛争とジェンダー」に着目しつつ検証する。
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