2010 Fiscal Year Annual Research Report
黄砂付着汚染物質検知に向けたリモートエリプソメトリー技術の開発
Project/Area Number |
20519004
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Research Institution | Institute for Laser Technology |
Principal Investigator |
染川 智弘 財団法人レーザー技術総合研究所, レーザー加工計測研究チーム, 研究員 (00508442)
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Keywords | ライダー / コヒーレント白色光 / チャネルド分光偏光計測 / 黄砂 |
Research Abstract |
高強度フェムト秒レーザーをKrガスに集光して得られる超広帯域コヒーレント白色光をエリプソメトリー手法であるチャネルド分光偏光計測に応用する基礎研究を行っている。これまでの研究で、コヒーレント白色光を用いると450~700nmに及ぶ広帯域において6桁程度の強度減衰においてもストークスパラメータを10%程度の誤差で復調できることを示している。ハロゲンランプ等を用いる従来手法では不可能であった遠隔計測への応用を検討した。 20m程度遠方に設置したCu、Si板に白色光を照射して、散乱光を直径20cmの望遠鏡で集め、チャネルドスペクトルを測定した。試料は紙やすりで表面粗さを付け、散乱が起きやすくしている。両試料とも正反射から30度程度まで角度をつけた状態でのチャネルドスペクトルの取得を行えた。コヒーレント白色光を利用することで、数10m程度離れた遠方の試料に対してもチャネルド分光偏光計測により詳細な偏光情報を取得できることがわかった。ライダー観測においては、大阪に黄砂が飛来した日に観測を行ったが、黄砂からは散乱光強度が小さく観測が行えなかった。比較的強度の大きな雲を用いて観測系の最適化を進めたが、信号強度の大きな800nm付近のスペクトルしか取得できず、ライダーへの応用に関しては1桁程度の信号強度の増加が必要であることがわかった。今後、白色光レーザーの出力の増加や、観測望遠鏡の口径の増加等による信号取得の改善を実施することで、従来の偏光ライダーでは観測できなかった詳細で広帯域な偏光情報の観測を一回のスペクトル測定のみから実施できる手法の提案が行えた。
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