2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 透 Tohoku University, 大学院・国際文化研究科, 准教授 (60222014)
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Keywords | 哲学 / 現象学 / 時間 / 意味 / 人生 |
Research Abstract |
本研究「時と意味-生の意味に関する現象学的分析の試み」は、「生きる意味」ないし「人生の意味」という、少なからぬ人々が哲学的思考へ参入する糸口であるにも拘わらず日本の専門的哲学研究では取り上げられることの少ない基本的問題について、そこで用いられている「意味」概念の時間論的分析を通じてこれに新たな光を投じることを狙いとしている。21年度は、前年度の成果を踏まえて、人生と歴史の関わりと連関意味との関連をやはり現象学的に生活世界の現場から解きほぐすという課題および連関意味の問題の裏面とも言えるその喪失、すなわちニヒリズムをめぐる問題系を連関意味論から見直すことが目指された。その結果、死によって限界づけられる個人の人生の意味が社会の歴史によって確保されるための条件が検討され、またその条件を満足すると思われる歴史観の候補が連関意味の二種に対応させられる形で二つ、すなわちキリスト教的救済史観(行為的意味に対応)とインド的輪廻思想(因果的意味に対応)が挙げられた。また、そうした信仰の次元がなぜ現代では以前より成立しにくくなっているように見えるのかという問題が、ニヒリズム概念の再検討や自然科学的世界観の影響の吟味を通して考察された。研究成果の一部は論文「人はどの程度『歴史物語』を必要とするか」で発表されている。また、これまでの検討を最終的に著作の形でまとめる作業も進められ、当初の予定からは章立て等の変更はあるものの、第1章から第6章までの草稿(400字原稿用紙にして430枚程度)がほぼ執筆され、残す最終章(結論部)の執筆と全体の再検討を残すあみとなっている。
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Research Products
(1 results)