2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520009
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
和泉 ちえ Chiba University, 文学部, 教授 (70301091)
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Keywords | ピュタゴラス主義 / ゲラサのニコマコス / 一世紀 / プラトン / リベラルアーツ / アレクサンドリア / アテナイ / 数論 |
Research Abstract |
研究初年度は、考察対象となる原典資料の収集と閲覧を速やかに行い、その読解と論点整理に集中した。 1,ニコマコス『数論入門』に関する校訂本は十六世紀に一冊、そして十九世紀に四冊刊行されている。それらを所蔵する国内外の図書館で閲覧すると共に入手可能な古書を収集し、校訂者の各々が底本とする写本の系統について詳しく調査した。 2.ニコマコス『数論入門』に関する写本は、十世紀のCodexGottingensis philol.66をはじめ、十三世紀のCodex Monacensis482、十四世紀末のCodex Norimbergensis、十六世紀のCodex Hamburgensisなど、合計四十四の写本が現存する。それらの系統に関する基本的見取り図を再検討すると共に、写本各々の特徴とその問題点を洗い直した。 3.上記作業と単行して、ゲラサのニコマコスに言及する原典資料とその解釈に関する関連諸論文を収集し、ニコマコスの活躍年代を更に絞り込む作業を遂行した。また、彼にピュタゴラス学派のマテーマタを教授した人々の輪郭を描出し、彼らの活動の拠点とその背景について、特に一世紀におけるアレクサンドリア、ローマ、アテナイを中心とする学術研究の各々の特徴とそれら相互の影響関係を再検討し、ニコマコスの出身地ゲラサの位置づけおよびニコマコスが受けた教育の内実を、文献学的証拠と共に提示す作業に着手した。 4.ニコマコス『数論入門』の試訳に着手した。
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