2008 Fiscal Year Annual Research Report
「生ける死生観」の発掘と倫理学的基礎づけ-在宅ホスピスの現場との連携を通して
Project/Area Number |
20520012
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
竹之内 裕文 Shizuoka University, 創造科学技術大学院, 准教授 (90374876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桐原 健真 東北大学, 大学院・文学研究科, 助教 (70396414)
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Keywords | 死生観 / 在宅ホスピス / 倫理 / 病院信仰 / 臨床死生学 |
Research Abstract |
本研究では、在宅ホスピスを始めとする終末期医療の現場との緊密な連携関係に基づいて、終末期疾患を抱える病者の「生ける死生観」が広く掘り起こされ、その倫理学的な概念化、基礎づけが試みられる。そのうち本年度は、研究計画通り、研究代表者、分担研究者(桐原健真氏)、研究協力者(田代志門氏、鷹田佳典氏、山本佳世子氏)がこれまでに実施してきた研究の成果を踏まえつつ、各自がそれぞれの研究の進展に努めた。具体的には、1)聞き取り調査において、新たなフィールドの開拓に努めるとともに、遺族を対象としたインタビューを開始した。その結実として、東北在宅ホスピスケア研究会『2007(平成19)年6月実施在宅ホスピスご遺族アンケート報告書』(東北大学臨床死生学研究会、2008年)をもとに「在宅ターミナルケア遺族調査データベース」(http://www.sal.tohoku.ac.jp/rinshiken/database/)を作成し、遺族調査を多様な側面から検討する基礎づくりを行った。2)思想史研究では、日本における「病院信仰」「医療万能主義」の歴史的文化的背景を、近代的病院の草創期であるキリシタン時代から検討し、これを明らかにすることにより、近代日本の死生観の変位を主題的に究明する礎石を築いた。3)研究代表者は、「生ける死生観」の発掘に先立って、「生」と「死」をめぐる現代哲学・倫理学の研究動向等を視野に収め、「倫理学的な基礎づけ」の準備を進めた。なお、各自が進める個別的な研究の有機的な統合を図るべく、月例の会合(在宅緩和医療従事者も参加)の機会を開催した。さらに学際的な死生学研究の一環として、韓国で開催された国際シンポジウムにコメンテーターとして参加し、学際研究をとり巻く今日の社会的・文化的状況について理解を深めた。
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Research Products
(19 results)