2010 Fiscal Year Annual Research Report
「生ける死生観」の発掘と倫理学的基礎づけ―在宅ホスピスの現場との連携を通して
Project/Area Number |
20520012
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
竹之内 裕文 静岡大学, 創造科学技術大学院, 教授 (90374876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桐原 健真 東北大学, 大学院・文学研究科, 助教 (70396414)
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Keywords | 死生観 / 死生学 / 倫理学 / ホスピス / 緩和医療 / あの世 / 来世 |
Research Abstract |
本研究では、在宅ホスピスを始めとする終末期医療の現場との緊密な連携関係に基づいて、終末期疾患を抱える病者の「生ける死生観」が広く掘り起こされ、その倫理学的な概念化、基礎づけが試みられる。 この研究目的をはたすため、本年度の研究は、以下の1)~3)の課題に取り組んだ。 1) 在宅緩和医療従事者との緊密な連携のもと、在宅緩和医療を受けている患者・家族を対象とした本格的なインタビュー調査(第二次お迎えアンケート)をチームとして実施し、死生観にかかわる患者・家族の語りを広く収集した。こうして同時代の身近な死生観を発掘するとともに、2)近代日本の倫理的・文化的背景を見すえつつ、思想史的な視座から死生観の変位を明らかにした。具体的には、近世から近代日本における死生観の変容を、浄土真宗を中心とすると国学者との世界観闘争という形で捉えることで、「あの世」「来世」や超越的存在の否定の過程を明らかにした。3)前項の1)と2)において、各人が自らの生と死をどのように捉え、その「意味」をいかに語り出したかを焦点に、多様な専門的背景をもつ人文社会科学研究者および多職種の医療・介護スタッフにより構成されるチームにおいて、考察と分析を進めた。なお研究代表者は、「生」と「死」をめぐる現代倫理学の研究動向、日本における展開等を視野に収め、生ける死生観の「倫理学的な基礎づけ」を試みた。 とりわけ本年度(~平成22年3月31日)は、研究成果の統合という観点から研究代表者、研究者分担(桐原健真氏)、研究協力者(田代志門氏、鷹田佳典氏、山本佳世子氏)の個別研究を相互に検証しながら、各自が進めてきた個別的な研究の有機的な統合を図り、その成果を月例の会合(在宅緩和医療従事者も参加)のほか、学会や研究会の機会に広く発信した。
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Research Products
(9 results)