2009 Fiscal Year Annual Research Report
現代フランス哲学の形成とサルトル倫理学の展開についての研究
Project/Area Number |
20520027
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Research Institution | Sapporo International University |
Principal Investigator |
水野 浩二 Sapporo International University, 人文学部, 教授 (20181901)
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Keywords | 哲学 / 倫理学 |
Research Abstract |
2009年10月9日に、東北大学大学院文学研究科フランス文学研究室主催のシンポジウム「サルトルのモラル論」が開催された。そこに4人の発表者の一人として招かれ、「サルトルの『具体的倫理」について」と題して発表を行った。遺稿である『『倫理学ノート』に登場してくる概念である「具体的モラル」は、サルトルが戦前の宣場を乗り越えるために新たに提唱した概念である、と思われる。それは普遍的なものと歴史的なものとを総合する立場と言える。そして、それはまた、1960年代の彼の新たな立場にもつながっていく概念である、と言えよう。 ここ数年、ジャン・ヴァールの『具体的なものへ」(1932年)を読解することにより、現代フランス哲学の形成を跡付ける作業を行ってきた。サルトルの「具体的倫理」についての考察も、その一環をなしている。「具体的なもの」に向かう運動が、19世紀から20世紀にかけて存在していた、というのがジャン・ヴァールの見立てであるが、そめ見立てを援用して考察を続けてきた。2010年3月には、ジャン・ヴァールの『具体的なものへ』を月曜社から翻訳出版することができた。今後、本書を頼りにして、現代フランス哲学の解明とサルトル倫理学についての研究をさらに進めていきたい。
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