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2010 Fiscal Year Annual Research Report

視覚的思考・直観と実在-幾何学性と物理的実在性の関係の認識論的分析-

Research Project

Project/Area Number 20520029
Research InstitutionSendai Shirayuri Women's College

Principal Investigator

原田 雅樹  仙台白百合女子大学, 人間学部, 准教授 (90453357)

Keywords作用素代数 / グランジェ / 視覚的思考 / 概念の哲学 / 作用と対象の双対性 / 非可換幾何学 / 現象学・解釈学
Research Abstract

科学の概念の構造とそれが構成された歴史に大きな注意を払う「概念の哲学」の系譜に連なるヴュイユマンは、カント哲学からフィヒテ哲学への移行を、「対象」の存在の必然性から「操作」の顕在化への移行として読み取っている。そして、その著作『代数学の哲学』のなかで、そのような移行を、ラグランジュの代数方程式論からガロア群の誕生という代数学における移行の過程に対応づけている。ヴュイユマンにとって、知性の純粋化とは、直観、そして具体的対象からの解放であり、操作の顕在化に他ならない。それに対し、グランジェの哲学においては、「操作と対象の双対性」という考え方が大切になってくが、そこで、グランジェは、ア・プリオリな総合に歴史性を取り込んでいくのである。現代数学の一つであるコンヌが生み出した非可換幾何学の概念構造とその構成に哲学的分析を施すには、グランジェの「操作と対象性の双対性」という考え方が有効であることを本年度の研究の中で示した。非可換幾何学を分析するには、ヴュイユマンのような操作の対象からの解放、知性の直観からの解放を強く唱える哲学では、不十分なのである。非可換幾何学においては、数理物理学とのつながりは本質的といってもよいほど深いものであり、また幾何学的あるいは数論的現象や数学的対象の実在性に対する直観といったものも放棄しない。もちろん、ここで幾何学的あるいは数論的現象は、感覚与件として与えられる現象でなく、いわばア・プリオリな現象であり、また実在性も物理的実在性とは区別された実在性である。このような非可換幾何学の概念史への反省は、歴史性と不可分に結びついた人間の思考や経験について解明することを可能とするような科学哲学への道を開くことができる。それはまた、新たな幾何学的空間概念がいかにして構成されるかを知る上で、重要な哲学的課題である。

  • Research Products

    (4 results)

All 2011 2010 Other

All Journal Article (4 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)

  • [Journal Article] ヴュイユマン『代数学の哲学』における哲学的方法論の探求-フィヒテの哲学とラグランジュからガロアに至る代数法的論の変遷-2011

    • Author(s)
      原田雅樹
    • Journal Title

      現代思想(青土社)

      Volume: 39/5 Pages: 206-229

  • [Journal Article] 数学と哲学における操作、対象、経験-フッサールのノエシス-ノエマ相関とグランジェの操作-対象双対-2011

    • Author(s)
      原田雅樹
    • Journal Title

      VOL(以文社)

      Volume: (6月発行予定)

  • [Journal Article] カント超越論哲学の数学論から数学概念の相互干渉による概念生成の哲学へ-非可換幾何学における解析学的、代数学的、幾何学的、数論的概念の干渉-2010

    • Author(s)
      原田雅樹
    • Journal Title

      現代思想(青土社)

      Volume: 38/11 Pages: 92-115

  • [Journal Article] Etude phenomenologique, epistemologique et hermeneutique de la geometrie non commutative

    • Author(s)
      原田雅樹
    • Journal Title

      Revue philosophique de Louvain

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2012-07-19  

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