2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヨナス哲学の展開と統合 -グノーシス、生命、未来世代、神-
Project/Area Number |
20520032
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
品川 哲彦 Kansai University, 文学部, 教授 (90226134)
|
Keywords | 倫理学 / 哲学 / 宗教学 / 責任 / 未来世代 |
Research Abstract |
ハンス・ヨナスの晩年の論文「アウシュヴィッツ以後の神概念」を中心とする神学的思索に焦点をあて、「哲学者で同時にユダヤ人であることの緊張」(晩年のインタヴューのなかの発言)を生きたヨナスの実人生と研究経歴においてこの主題の占める位置を研究した。研究成果は、関西大学哲学会で発表、これを敷術した論文2篇(研究発表の項を参照)を上梓した。同時に、ヨナスの神学を主題とする論文三篇(「アウシュヴィッツ以後の神概念」「物質、精神、創造」「過去と真理」)の訳出を進め、複数出版社との折衝の結果、2009年度中に法政大学出版局から『アウシュヴィッツ以後の神』と題して刊行する予定である。上記論文2編の内容はそのなかに解説として取り入れることとなる。 2008年7月21日に開催された大阪府立大学現代思想研究会および「生命の哲学」研究会では、2007年に刊行した拙著『正義と境を接するもの--責任という原理とケアの倫理』を軸に、ヨナス研究に関する質問を受け、応答した。さらに、2009年2月21日に京都大学で行われたWilliam R. LaFleur氏(ペンシルヴェニア大学教授)の講演「哲学者・生命倫理学者としてのハンス・ヨナス--アメリカでの周縁的地位」で特定質問を務めた。その内容は英文で下記のウェブサイトで公開している。 また、2008年9月にはポーランドとドイツへの出張を行った。アウシュヴィッツ収容所を現地調査し、ベルリンのユダヤ博物館、ユダヤ犠牲者記念館を訪問した。後者では、ヨナスの母の伝記的事実に関する発見をし、その内容は上記論文のなかに言及している。また、ヨナスがハイデガーを知ったフライブルク大学を訪問。同大学図書館でヨナス研究の現況を調査した。
|
Research Products
(4 results)