2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヨナス哲学の展開と統合 ―グノーシス、生命、未来世代、神―
Project/Area Number |
20520032
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
品川 哲彦 Kansai University, 文学部, 教授 (90226134)
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Keywords | 倫理学 / 哲学 / 宗教学 / 責任 / 未来世代 |
Research Abstract |
2009年9月に、Jonasが晩年に示した神をめぐる論考三篇を訳出して『アウシュヴィッツ以後の神』と題して法政大学出版局から刊行した。訳出にあたっては、ユダヤ教、グノーシス思想に関する詳しい注をつけ、昨年度までに公にした論文「<アウシュヴィッツ以後の神>概念」(一)(二)を加筆修正して「ハンス・ヨーナスの生涯」「解題」として納めた。両者はグノーシス研究から戦後におけるハイデガーからの離反、生命哲学、責任原理、神学的考察に至るJonasの思想の変遷を日本で初めてまとめた叙述であり、本研究にとっては中間報告という意味をもつ。訳書は細見和之氏(週間読書人2817号)、高村薫氏(朝日新聞12月27日)、森一郎氏(紀伊国屋書店書評空間12月29日)等から書評を得た。 学会発表としては、4月に応用哲学会、6月に大谷大学西洋哲学倫理学会、7月に「生命の哲学」研究会、1月に名古屋哲学会でこれまでの研究成果を発表した。7月には大阪府立大学21世紀科学研究機構の一組織である現代生命哲学研究所の客員研究員に着任し、Jonasの生命哲学について共同研究する場を与えられた。 以上のように、今年度の研究計画に挙げた、生命哲学と責任原理との関係、グノーシス思想研究、ハイデガー実存哲学との対決については、一応の連関をつけて示すことができたが、しかし、その細部に関する研究の成果を記した新たな論文は、遺憾ながら産出することができなかった。ひきつづき次年度の課題である。 2010年2-3月には、ドイツに出張し、Jonasが学んだユダヤ高等学院についての資料をベルリンで入手し、また、ケルン大学およびケルン中央図書館でJonasが学生時代に関わっていたシオニズムの学生運動に関する資料を収集する等の成果を得た。
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Research Products
(6 results)