2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヨナス哲学の展開と統合 -グノーシス、生命、未来世代、神-
Project/Area Number |
20520032
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
品川 哲彦 関西大学, 文学部, 教授 (90226134)
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Keywords | 倫理学 / 哲学 / 宗教学 / 責任 / 未来世代 |
Research Abstract |
論文「ヨナスは、なぜ、いかにして日本に『積極的に受容』されたか--ラフルーアの解釈と日本からの応答」を『京都大学宗教学研究室紀要2010』(2010年12月7日、京都大学、49-69頁)に掲載した。同論文では、ヨナスが実際に活動した米国よりも日本で受容されている理由に、日本の倫理学の伝統とヨナスの責任原理の親和性を挙げたW・ラフルーアの解釈に対して、日本ではヨナスのユダヤ的側面がまだ受容されておらず、責任原理の背後にある神による世界の創造という発想も日本には無縁であることを指摘して批判した。同論文の英訳版を電子ジャーナルJournal of Philosophy of Life(大阪府立大学21世紀科学研究機構現代生命哲学研究所)に近々掲載する予定である。 2010年10月には、ベルリン自由大学ハンス・ヨナス・ツェントルム所長D・ベーラー教授の退任を記念して行われたシンポジウムに参加。同シンポジウムに関連して同ツェントルムが編纂して刊行する予定の10.EWD-Diskursに、2011年3月に、論文"Der nicht omnipotente Gott und die menschliche Verantwortung"(全能ならざる神と人間の責任)を投稿した。 2010年10月2日には宗教倫理学会大会シンポジウム「宗教倫理と倫理学」において基調講演「価値多元社会における倫理、形而上学、宗教」を行い、10月3日には実存思想教会・ドイツ観念論研究会共催第19回シンポジウム「20世紀の宗教哲学を再考する」において講演「ハンス・ヨナスのアウシュヴィッツ以後の神概念」を行った。 しかし、予定していたヨナスの最初の著作『アウグスティヌスとパウロ的自由の問題』、それに続くグノーシス研究に関する論文は準備を進めつつも、代表者の従来の研究領域から遠く離れた主題であるために、完成することができず、2011年度の課題として残った。
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Research Products
(4 results)