2009 Fiscal Year Annual Research Report
最後のインド密教――『ダーカールナヴァ・タントラ』が描くもう一つの姿――
Project/Area Number |
20520047
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
杉木 恒彦 Waseda University, 高等研究所, 准教授 (40422349)
|
Keywords | インド哲学仏教学 / 宗教学 / 密教学 |
Research Abstract |
本年度の研究目標は、以下の3点であった。[1]本研究課題の主要文献である『ダーカールナヴァ・タントラ』第15章のサンスクリット語校訂テキストの精度を上げる。[2]それを遂行するための一手順として、ネパールのNepal Research Centerに出張を行うことにより、現地専門家と議論を交わすことと、有益な資料の収集を行う。[3]英語ネイティヴの協力を得て、上記テキストの英訳の精度を上げる。 上記研究目標はおおむね本年度において達成されたと言える。なお、ネパールにて、『ダーカールナヴァ・タントラ』の、一層古い時代に書写されたと考えられる写本(複写)を入手することができたことを、特記事項として記しておきたい。より古い時代の写本は、上記文献の校訂テキストの精度を上げるうえで重要な資料となるからである。 本年度の成果発表の目標についても、おおむね達成することができたと考えている。成果発表の内容を具体的に述べれば、以下のようになる。(1)本研究課題の主要文献である上述『ダーカールナヴァ・タントラ』を主要資料の1つとして用いた学会発表(1件:日本宗教学会)と論文刊行(2件:『比較文明』とJournal of International Association of Buddhist Studies)も行うことができた。(2)また、本年度の成果発表計画に記した、International Journal for South Asian Studiesへの論文投稿については、投稿後、査読審査を合格し、現在、校正中である。 以上、本課題の最終年度(来年度)へとつなげるための作業を、本年度にて計画通り完遂することができたと自己評価している。
|