2009 Fiscal Year Annual Research Report
日本で発見されたオリヤー語『マハーバーラタ』の研究
Project/Area Number |
20520048
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Research Institution | Otani University |
Principal Investigator |
DASH Shobha Otani University, 文学部, 非常勤講師 (20460660)
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Keywords | マハーバーラタ / 貝葉写本 / オリッサ / オリヤー語 / Mahabharata / Saraladasa / palmleaf manuscript / Orissa |
Research Abstract |
本研究は、愛媛県宇和島市津島町に残るオリヤー語版『マハーバーラタ』の貝葉写本「津島貝葉」に対するものである。『マハーバーラタ』研究、とりわけその受容史の解明に有益である当該写本のローマ字転写および校訂テキストの作成を中心とし、同時に、同系統貝葉写本の有無や当該写本の日本伝来の経緯についても明らかにすることを目的としている。これらの目的を達成するために研究をすすめ、2009年度は、以下のような成果を得た。 (1)写本の読解作業の効率化を図るため、51a~150b(両面記載で200ページ)までを画像デジタル化した。 (2)解読困難なコロニー(kara・1)書体で刻まれた当該写本の内容を利用しやすい形にし、広く研究者に利用してもらうため、画像デジタル化した部分について、そのローマ字転写テキスト(diplomatic edition)を作成した。 (3)ローマ字転写テキストを、既に活字出版されている2冊のオリヤー語版『マハーバーラタ』〔オリッサ文化庁<Department of Culture, Government of Orissa>(1966年)及びDharmagrantha Store(1900~2000)〕と比較・検討し、校訂テキストを作成した。 (4)2009年12月18日~2010年1月5日まで該当写本の作成地であるインド東部・オリッサ州へ行き、研究調査を行った。オリッサの西部にあるバトリとジャラムンダーという両村の寺院および個人所蔵の32本の貝葉写本を集めることができた。これらの写本の内容研究は今後の課題である。 (5)2010年1月~3月末までハイデルベルグ大学南アジア研究所古典インド学科(Department of Classical Indology, South Asia Institute, Heidelberg University)のM.Maithrimurthi教授と共同で「津島貝葉」を初めとし、当大学の図書館に保管されている、400本以上のオリッサの貝葉写本について研究を行なった。 (6)ドイツ滞在中に、当該写本と同系統(つまり年代が同じで、同一の著者であり、同一部分で言語と書体が同じ)の貝葉写本がゲッティンゲン大学に保管されているとの情報を得え、同大学を訪問し、その写本の複写版を手に入れることができた。
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