2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520050
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Research Institution | Kyoto Koka Women's University |
Principal Investigator |
荒牧 典俊 Kyoto Koka Women's University, 文学部, 教授 (30027536)
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Keywords | 大乗佛教の起源 / 佛像の出現 / 帝釈窟説法 / 三道宝階 / 舎衛城神変 / 不退転 / 無生法忍 / 龍樹 |
Research Abstract |
このたび平成21年2月12日から26日までの15日間にわたって、研究協力者3名とともに中・南インド佛教遺跡調査旅行を実行することができた。主な調査地は、マトウラー博物館・サンチー佛塔・アジャンタ前・後期窟・新発見のカンガンハリ佛塔・ナーガールジュナコンダ博物館・アマラーヴァテイー博物館・チェンナイ博物館などであった。わたくしの「大乗佛教起源論」仮説の四項目のテーゼについて、つぎのような事実を確認することができた。1、「大乗佛教運動は、すでに始まっていた初期ヒンドウイズム運動と一体化した運動であった」-マトウラー近郊のソンク遺跡に確認される初期ヒンドウイズム、シヴァ派のナーガ信仰が、カンガンハリ佛塔・ナーガールジュナコンダ佛塔・アマラーヴァテイ前期佛塔基壇正面の巨大なナーガ像に伝承されていることを確認した。2、「佛塔を中心とする佛教文学・美術運動は、原始佛教の諸部派全体に及ぶ運動であった」及び3、「原始佛教の諸部派全体に及ぶ芸術運動は、新しい芸術的なしかたで佛を直接、体験しようとした」---諸部派の佛塔において「帝釈窟説法」「三道宝階」「舎衛城神変」の場面が彫刻されていて、それが「佛像出現」以前にも、以後にも確認される。それらの説話は、佛不在の後に佛が出現し説法することをテーマとする故、佛を新しいしかたで体験することを表現している。4、「『大乗佛教の起源』と『佛像の出現』は、新しい芸術的なしかたで体験される宗教体験「不退転」「無生法忍」に由来するのであり、三昧において諸佛に直接、ま見えるところから始まった」---『八千じゅ般若経』の梵天と帝釈は「三道宝階」に由来し、『華厳経』の蓮華座上の諸佛は「舎衛城神変」に由来する。
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Research Products
(2 results)