2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520050
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Research Institution | Kyoto Koka Women's University |
Principal Investigator |
荒牧 典俊 龍谷大学, 仏教文化研究所, 研究員 (30027536)
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Keywords | 大乗経典運動 / 仏像の起源 / Kanganhalli / Amaravati / Nagarjunakonda |
Research Abstract |
本研究「大乗佛教起源論のための佛教美術史的基礎研究」の第三年、最終年度、にあたっては、これまでの研究成果を、小冊子「研究成果報告書」へ要約して公表するための準備作業に集中した。研究代表者荒牧は、「第一年度北・中・南インド佛教遺跡調査旅行-予備報告」を書いて、本研究の前提となった五項目の作業仮説を提言した上で、その作業仮説が、現地調査によって、どのように、どこまで検証されたか、を概説した。あわせて英文論文"Apropos of the Three Legends of Buddha's Dis- and Re-appearance"を書いて、佛塔を中心とする佛教文学と佛教美術の発達が、どのように三説話「帝釈窟説法」「頭髪供養(即ちマハーゴーヴィンダ大臣物語)」「三道宝階」を介して原始『般若經』の起源と佛像の出現へと展開するか、を解明した。以上、あわせて「大乗佛教起源論」の新しい可能性を証明することができたのではないか、と考える。今後、かくして『般若經』とともに始まった大乗経典運動が、どのように南インド、アマラーヴァティー大塔において『華厳經』などを発達させ、北西インド、ガンダーラにおいて、『阿〓佛国經』『無量壽經』などを発達させるか、を究明していきたい、と考えている。他方、研究協力者中西痲一子は、第二年度に調査した新発見の佛教遺跡「カンガンハリ大塔」の従来までの発掘の経過と欧米研究者による予備報告を総括するとともに、インド考古局の許可書にもとづいて撮影してきた59枚の大型説話パネルの写真集成及びそれらのパネルに石刻された碑文集成を作成した。これらは、インド考古局による正式報告書の公刊までの間、この重要な佛教遺跡を研究するための基礎史料となるものである。
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