2009 Fiscal Year Annual Research Report
板碑を素材とする思想史研究の新たな領域と方法の開拓
Project/Area Number |
20520065
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 弘夫 Tohoku University, 大学院・文学研究科, 教授 (30125570)
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Keywords | 板碑 / 死者供養 / 古墳 / コスモロジー / 石塔 |
Research Abstract |
[基礎資料の収集] 1、前年度に引き続き、現存する板碑を網羅的に収集すると同時に、そこに勧請された仏名のリストアップを行い、そのデータベースを作成した。また、板碑と石塔に関連する史料とその分析に必要な参考文献と最新の研究文献を収集した。 2、東北各地の主要な板碑について、実物についての調査を行い、それを写真撮影して記録した。 3、上記1・2のため、高清水(宮城県)・胎内市(新潟県)・郡山市(福島県)などで実地調査を、東京国立博物館・京都国立博物館・大津市歴史博物館などで資料調査を実施した。 4、板碑を石造遺物というより広い視点で捉え直すため、松本市立博物館などで、他の石造物と比較すべく資料調査を実施した。 [分析と考察] 1、収集した板碑について、その分析とコスモロジーの解明を本格的に進め、起請文研究の成果を援用しつつ、当該時代の人々に共有されていたコスモロジーを抽出する作業を行った。 2、板碑研究でえられたコスモロジーや死生観と対比しながら、いわゆる鎌倉新仏教・旧仏教、本覚思想といった体系的な仏教思想の分析を行い、新たな角度からその特質と意義を見出した。 3、本研究の成果を複数の論文として発表した。また、日本宗教学会やシンポジウム等で、研究成果を口頭で報告した。 4、板碑建立の背景にある文化的・思想的な土壌を踏まえて、板碑の特質を多角的に考察した。
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