2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520066
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 章則 Tohoku University, 大学院・文学研究科, 准教授 (10187990)
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Keywords | 天領 / 代官 / 文化 / 学問 / 思想 / 地域 / 書物 / 享受 |
Research Abstract |
本研究は、2007年7月刊行の拙著『江戸の転勤族-代官所手代の世界-』(平凡社選書)において明らかにした、江戸時代における「天領」(幕府の中・下級実務官僚である郡代・代官による直轄支配地、郡代領・代官領の総称)の学問と文化の構造とその展開についての学説を、多角的に再検証し、より確実なものにすることを目的とした研究である。そして、研究を進めるにあたっては、学問・思想形成の基盤をなす諸種「書物」の入手と享受の実態への検証を端緒にし、代官所とその周辺に住む広義の「学問者」の「知」の構造を思想史的に考察することを目的とする。 本年度の研究の課題としたのは、(1)代官所に関わる出版物・文献・史料の把握、(2)地域文化に果たす地方役所の役割の東アジア圏内での比較、をめぐる基礎的調査である。史料の所在確認とその閲覧さらには今後の調査の可能性の確認を目的として赴いた場所の主なものは、福島県北部地域(陸奥代官所周辺地域)と韓国全州市(韓国における地方出版の中心地)である。 その調査を通じて、学問・思想形成の基礎をなす諸種「書物」の入手と享受の実態への検証のみちすじを展望することが可能となった。あわせて、代官所・地方官衙とその周辺に住む広義の「学問者」の「知」の多面的な構造を思想史的に考察する際の視点を「出版」行為に即して獲得することができた。
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