2008 Fiscal Year Annual Research Report
モダニティとニュートン主義:創造/反復、エクスタシス/現前性、自己中心化
Project/Area Number |
20520069
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
長尾 伸一 Nagoya University, 大学院・経済学研究科, 教授 (30207980)
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Keywords | 科学史 / 経済学史 / 近代思想史 / ニュートン主義 / 宇宙観 / ヨーロッパ思想 / スコットランド / イギリス |
Research Abstract |
本研究では近代思想の形成におけるニュートン主義の役割を再評価し、モダニティに内在する葛藤と多様性を解明する。とくに英語圏のニュートン主義に焦点をあてて、以下の諸点の解明に絞って研究を進める。このうち本年度では上記の課題を、以下の諸点の解明を通じて行った。 (1)ニュートン主義に見られる古代の復興と新しい科学の成立の関係を、ベーコン、デカルト研究を参照しつつ、数学と自然学におけるanalysis概念と「ニュートンの方法」の諸分野での展開を通じて明らかにする。 (2)ニュートン主義における「空間」の拡大と統合を、天文学と博物学の比較、複数性論争の展開と変容、世界表象の展開を通じて展望する。 海外調査については、平成20年度後期に研究休暇期間を取得したため、滞在先であるベルリン自由大学を拠点にして、ドイツ語資料や電子データ・ベースについての資料調査を行った。 国内調査については、早稲田大学、京都大学、国立国会図書館でECCO、EEBO電子データ・ベースの調査を行った。刊本資料についてはニュートン主義および近代科学史に関する刊本資料および研究書の収集を行った。その結果、初期近代における複数性論の展開についての概観を確認し、スコットランド啓蒙における複数性論の思想史的背景を解明した。またトマス・リードについては、天文学的複数性と高次元空間という二つの複数性論が存在することを明らかにすることができた。
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