2010 Fiscal Year Annual Research Report
モダニティとニュートン主義:創造/反復、エクスタシス/現前性、自己中心化
Project/Area Number |
20520069
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
長尾 伸一 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (30207980)
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Keywords | 近代思想 / 科学史 / ニュートン主義 / モダニティ / 西洋思想史 / 啓蒙 / ブリテン / 方法論 |
Research Abstract |
本年度は以下二点を解明するとともに、全体の総括を行った。 (5) 18世紀、19世紀の複数性論争とその意味を、ハチンソン主義(18世紀)、ヒューウェルとミル(19世紀)の検討によって解明した (6) ニュートン主義の定式化と衰退にかかわる進化論と相対論のインパクトを、進化論および20世紀初頭の科学観について解明した (7) ニュートン的世界喩の持続の問題を、19世紀後半から20世紀前半の経済学における選択理論の成立を通じて解明した 以上の研究を通じて、18世紀から19世紀にかけてのニュートン主義が、モダニティの形成に対して、単に科学方法論のみならず、思想の内実的な点にまでかかわっていたことが明らかにされた。また物理学、天文学から生物学に主役を交代した、科学を起源とするメタファーとしての世界像の根底においても、初期のニュートン主義の影響が残存していることも確認できた。このような点で、現在では相対論、量子論や今後の統一理論に席を譲ったとはいえ、ニュートン主義は現代世界においていまだに規定力を保っているということができる。 本研究の結果、このようなニュートン主義の生成、発展から人間の科学の形成を内在的に導くことが以後の研究の課題として明らかになった。
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