2008 Fiscal Year Annual Research Report
日本ナショナリズムと戦後思想ー戦争の記憶・表象に関する比較思想史的研究
Project/Area Number |
20520072
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
樋口 浩造 Aichi Prefectural University, 文学部, 教授 (30243140)
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Keywords | 英霊 / 日露戦争 / 美濃善光寺 / 戦争の記憶 / 日中戦争 / ナショナリズム |
Research Abstract |
本年度は、初年度として、国内外の戦争の記憶に関する様々な施設や記念碑の調査を行った。国内では、日露戦争に際して、戦没者の供養や顕彰として、木彫り人形を作成した地域についての調査を行った。岐阜県美濃市善光寺の英霊人形95体の調査を本格的に行うと同時に、静岡県志太郡岡部町の英霊殿223体、群馬県藤岡市龍源寺にまつられる162体の現地調査を行った。またこれらの成果として、愛知県立大学文学部紀要に「史料紹介:小倉山善光寺所蔵『目露戦役野戦第九師團戦歴』として2009年3月に発表した。 また、中国での戦争の記憶の問題として、南京・上海にあるそれぞれ南京大虐殺と上海事変の記念館を調査すると同時に、中国語・日本語の文献資料も入手することができた。今後の比較検討のための資料収集が行えた。さらに、南京・福安里にひっそりと残されている、旧日本軍将校のための元慰安所に訪問し、住人に聞き取りを行うことができた。こうした断片断片の積み重ねから、思想的テクストとも交差する線的な記述の可能性をじっくりと探っていきたい。 また、思想史上のナショナリズム研究としては、単著『江戸の批判的系譜学--ナショナリズムの思想史』を09年4月にぺりかん社より刊行した。昨年一年間の推敲を経て3月に最終的に完成した。現在の本研究を支える、土台となる成果をまとめることができた。
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Research Products
(2 results)