2010 Fiscal Year Annual Research Report
歴史批判と本文批評:聖書資料説の起源と「批判」概念の発生
Project/Area Number |
20520079
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
伊藤 玄吾 同志社大学, 言語文化教育研究センター, 助教 (70467439)
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Keywords | 思想史 / 宗教学 / 西洋古典 / 外国語 / 翻訳 / 生成研究 / フランス |
Research Abstract |
本研究の中心内容は、リシャール・シモンの著作『旧約聖書の批判的歴史』Histoire critique du Vieux Testament(1678;HCVT)における聖書研究の方法論の成立の過程を追うとともに、バルーフ・スピノザ『神学政治論』Tractatus Theologico-Politicus(1670:TTP)の比較を行うことにあるが、平成22年度は主に以下に示す研究を中心に行った。 第一に、HCVTのフランス語原典の異なる版のヴァリアントを考慮したデータベース化を推し進めた。第二に、HCVTの出版前後の聖書研究をめぐる宗教的、思想的、政治的背景をより明らかにするために、リシャール・シモンの伝記的側面を細かく検討した。とりわけ当時のフランス宗教界の最重要人物で、HCVTのフランスでの出版を差し止めさせたボシュエの全著作からリシャール・シモンに関する批判を抜き出し、整理し分析した。第三に、リシャール・シモンがそれ以前の聖書研究から何を受けつぎ、何を新しい方法として打ち出しているのかを、彼以前のヘブライ語学者たちの仕事との比較を通じて検証する作業を行った。特に16世紀前半のフランスにおけるヘブライ語研究の状況を整理するとともに(2010年発行の『京都ユダヤ思想』創刊準備号所収の拙論文参照)、またフランスのマザリーヌ図書館にて文献調査を行い、主に16世紀の最大のキリスト教徒ヘブライ語学者であるヨハネス・ロイヒリン、セバスティアン・ミュンスターらの文献を集め、また彼らの仕事についてのリシャール・シモンの評価について研究した。
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Research Products
(2 results)