2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520088
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
河野 道房 大阪府立大学, 人間社会学部, 准教授 (90195678)
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Keywords | 魏晋南北朝 / 陵墓 / 異獣 / 石獣 / 壁画 / 辟邪 / 天禄 / 獅子 |
Research Abstract |
交付申請書記載の「研究実施計画」に基づき、連携研究者(京都橘大学教授王衛明、花園大学教授下野健児)の協力を得て、現地の情報収集を行い検討した結果、今年度は南朝の出土遺品、特に陵墓石獣を中心とした調査を行った。(南京市棲霞山石窟は、現地の事情で調査できなかった。) その結果、丹陽市で1)斉明帝蕭鸞興安陵石麒麟2、2)梁文帝蕭順之建陵石麒麟2石柱2石碑亀趺座2石建築基礎2組、3)斉武帝蕭〓景安陵石麒麟2、4)斉景帝蕭道生修安陵石麒麟2、句容市で5)梁南康簡王蕭績墓石辟邪2石柱2、南京市で6)梁呉平忠侯蕭景墓石辟邪2(1のみ)石柱1、7)梁桂陽簡王蕭融墓石辟邪2石柱1(柱頭小辟邪のみ)、8)梁安成康王蕭秀墓石辟邪2石柱2(1柱座のみ、1柱頭欠)石碑3(2亀趺のみ)、9)梁〓陽忠烈王蕭恢墓石辟邪2、10)梁始興忠武王蕭憺墓石辟邪2小辟邪2石碑3(2亀趺のみ)等々を調査できた。 ほか、南京市博物館において南朝墓出土陶俑、石刻碑文、墓誌銘等を調査し、南朝美術関係資料を収集した。 以上の調査から、南朝陵墓石獣の造形的特徴が抽出でき、いくつかの新知見を得た。北朝石刻仏像等に見られる獅子、天禄、辟邪等との造形的共通点・相違点、隋唐の獅子像に引きつがれる様式とそれ以外の要素等々である。なかでも石柱台座に浮き彫りされる異獣(鳥獲等)は、摩滅による不鮮明な箇所も多いが、基本的に北斉墳墓壁画に見られる異獣と共通の姿勢、髪型、造形的特徴を有しており、数少ない南朝の絵画遺品や、北朝絵画との関係を考えるうえで、きわめて示唆的である。 この結果、南朝の陵墓に見られる造形の特徴が、まだまだ十分とはいえないが、ある程度の見通しをもって整理することが可能になってきた。北朝の造形と比較対照することで、これまで漠然としかわからなかった南北朝時代の仏教美術以外の造形の展開が、より具体的に記述可能になると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
領域ごとに多少の遅延はあるが、おおむね当初の計画どおり、魏晋期、北朝、南朝それぞれの出土資料を調査できており、新知見も得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は研究計画の最終年度にあたり、これまで行った調査・研究のとりまとめおよび考察に専念する。資料の整理と発表を進め、基本的にはWebページ上で、必要に応じて学会発表、学会誌投稿等の発表形態も検討する。
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Research Products
(2 results)