2009 Fiscal Year Annual Research Report
古代中国・中央アジアの仏教供養者像に関する調査研究
Project/Area Number |
20520092
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Research Institution | Seisen University. |
Principal Investigator |
石松 日奈子 Seisen University., 文学部, 講師 (80424307)
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Keywords | 中国 / 中央アジア / 仏教 / 供養者像 / 寄進者像 / 邑義 / 石窟 / 造像碑 |
Research Abstract |
平成21年度は甘粛省敦煌市の莫高窟と天水市の麦積山石窟、山西省大同市の雲岡石窟、河南省東北部の石像や造像碑を中心に供養者像の作例を調査し、基本データの収集、整理、保存を行った。 まず、5月以降は夏の調査を念頭に日本国内で情報を収集し、現地協力者と連繋して調査地域と時期を検討、現地機関への協力依頼を行った。現地調査は2回に分けて実施した。1回目は7月28日より8月6日までの日程で、まず敦煌の莫高窟と西千仏洞で北朝~元時代の石窟を調査した。莫高窟ではとくに第285窟について、供養者像の位置や画風などを詳しく検討し、石窟造営の経過や寄進の状況についても新たな知見を得た。また、西千仏洞では莫高窟とは異なる供養者構成を見出した。続いて山西省に移動し、大同の雲岡石窟で北魏時代の作例を調査し、鮮卑供養者像のほかにソグドらしき人物像を確認した。大同市博物館物では服飾の参考資料として墓葬の桶を見学した。2回目の調査は9月2日より16日までの日程で、まず河南省の鄭州、焦作、博愛、新郷、修武で北魏~隋時代の仏教造像を調査した。次に甘粛省天水の麦積山石窟に移動し、北魏~唐時代の石窟を調査した。塑像で造形された麦積山の供養者像には墓葬の桶に通じる表現や技法も見られ、また、従来報告されている題記のほかにも文字を認めることができた。10月以降はデータを整理してカード化し、撮影した写真画像は学生アルバイトを雇用してパソコンで整理、プリントアウトした上で、ハードディスクとDVDに保存している。この間、5月に龍谷大学史学会で「敦煌莫高窟第二八五窟の供養者像と供養者題記」と題する講演を行い、敦煌西魏時期の供養者図像を中心に研究成果を報告した。また、10月に、研究代表者が日本の「美術史」誌上に発表した供養者像に関する論文が、中国の学術誌「中原文物」に掲載された。
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Research Products
(4 results)