2009 Fiscal Year Annual Research Report
寛政度内裏造営における禁裏絵所預土佐家と復古様式資料に関する研究
Project/Area Number |
20520100
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
岩間 香 Setsunan University, 外国語学部, 教授 (50258084)
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Keywords | 土佐家 / 絵所預 / 寛政度内裏 / 復古 / 障壁画 |
Research Abstract |
本研究の目的は、(1)寛政度内裏造営における復古様式資料の収集と分析、(2)絵所預土佐家の役割を明らかにすることの2点である。3年の研究期間の2年目にあたる本年度は、1年目に確認した資料や文献の整理・分析につとめ、論文を発表した。 (a)今年度は内裏のしつらいに関する資料の収集に力を入れ、宮内庁書陵部・国立国会図書館の資料から、内裏における年中行事や祝宴の際の屏風の立て方、天皇服喪時のしつらいの図面などを新たに見いだした。とくに注目されるのは、天皇の親が没した時に設置される椅盧の図面で、学問所の一室の床を切り下げ、葦簾や竹で囲いを作る特殊なしつらいの実態が明らかになった。これまで椅盧の実態の分かる起こし図や造営の経緯が紹介されたことは無く、内裏研究上貴重な資料と考えられた。この成果は2009年度日本建築学会大会で発表し、大会梗概集に概要を寄稿した。 (b)寛政度内裏造営で禁裏大工として登用された木子一族について、「木子家文書」や「造内裏御指図御用記」などから、登用の経緯や仕事の実態を明らかにした。その結果、木子家は3家あり、そのうちの木子播磨が重用されたこと、彼は幕府方大工の図面を検査したり、公家の疑問に答える役割を担ったことなどを明らかにした。この成果は日本建築学会「計画系論文集」に投稿し(2010年1月10日〆切)、審査の結果、2010年6月発行号に掲載されることが決定した。 (c)土佐光貞の絵画作品を新たに見いだした。また「造内裏御指図御用記」の解読から、内裏の画事を統括する過程で海北派や大坂画壇の絵師をも影響下におさめ、画壇で重きをなすに至った様子が明らかになった。
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