2011 Fiscal Year Annual Research Report
環北太平洋北方圏の先住民文化について、その現代的意義をモチーフとした空間造形
Project/Area Number |
20520103
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
坂巻 正美 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (60292067)
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Keywords | 彫刻的空間造形 / 現代美術 / 美学 / 美術論 / 芸術諸学 / 北方圏 / 神話 / 先住民 |
Research Abstract |
研究実施計画に申請した、作品イメージの構築作業を目的とした実地調査及び、実地制作による研究成果は、下記のとおりである。 1.カムチャッカ半島では、エヴェン、コリヤーク、イテリメン、各先住民集落の研究協力者を訪ね、伝統的狩猟採集文化の聞き取り及び伝統技法、儀礼とその場所、博物館資料撮影等の実地調査を行った。 2.東南アラスカ地域における博物館及び研究協力者からの聞き取りでは、北米北西海岸先住民に関わるクマ儀礼等に関連した、彫刻や工芸及びその制作技法、写真記録などの実地調査を行った。 3.第50回大学美術教育学会全国大会(宮城大会)にて、ポスター発表を行った。その内容は、北海道大学構内(国指定・重要文化財・旧札幌農学校牧舎)における歴史的空間を素材とした当該研究作品の発表(2010年10月)及び上記1の実地調査報告である。 4.第14回我孫子国際野外芸術展(千葉県)にて実地制作を行い、本研究成果の一部である作品の展示発表を行った。 5.第34回美術科教育学会(新潟大会)シンポジウム「『原初的なるもの』をどう美術教育に生かすか」への招聘にて、本研究成果の一部である作品をもとに発表討論を行った。 上記報告における意義と重要性は、次のとおりである。1、2から、動物と人間の関係において創造されてきた狩猟採集を生業とする先住民の伝統文化に、現代社会における物質中心主義に対抗する思想を見る。自然環境に大きな負荷をかけない環境保護を伴う生活技術の現実的な意義や重要性はもとより、狩猟動物や採集植物と人の関係における贈与と返礼の供儀の文化は、人が生きられるのは精神的糧と物質的糧が同じ重さで交換されることなのだと言うことを教えてくれる。このことの現代的意義のイメージを作品「けはいをきくこと…北方圏における森の思想」の連作として展覧会発表し、学会等で報告及び討論を行った。その成果が3~5である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該研究における研究協力者が他界される予測不可能な事態に加え、ロシア極東地域における宿泊施設も無い辺境地への旅行手配に要する時間や調査旅費が、当初の見込みを大きく上回ってしまったため。
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Strategy for Future Research Activity |
「11.現在までの達成度」の理由から、残りの研究期間について若干の計画調整を行った。 (1)応募当初に「平成23年度の計画」で示しでいた研究成果をまとめる目的での作品発表だが、本年度申請書で計画調整した通り、実地調査等不十分の理由から、研究の最終年度である来年度後半へと研究成果発表の作品展覧会を延期し、研究を進める。 (2)応募当初の「平成24年度の計画」である研究最終年度の成果発表として示していた、作品集発表に加え、上記(1)を同時に行う計画調整を行った。
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Research Products
(3 results)