2008 Fiscal Year Annual Research Report
三味線音楽における総合譜の作成と記譜法に関する研究
Project/Area Number |
20520117
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
三浦 正義 Tokyo National University of Fine Arts and Music, 音楽学部, 教授 (70323772)
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Keywords | 日本伝統音楽 / 総合譜 |
Research Abstract |
日本の伝統音楽は演奏の即興性や伝承の方法論(口承性)の問題から、統一した記譜法を用いた総合譜(スコア)の作成、あるいは記譜法の統一という観点において、必ずしも積極的な動きを示してきたとは言い難い。三味線音楽もその例外ではない。つまり、三味線音楽は三味線・唄・囃子・舞踊の間に密接な関係をもつ総合芸術であるにも関わらず、統一した譜面は存在せず、それぞれに独特の譜面を使用しているのである。流派の多様性もその一因であると考えられるが、総合譜(スコア)の不在は、演奏者間の不都合のみならず、音楽的研究の見地からも作品研究の遅れの大きな要因のひとつになっているのではないかと考えられる。本研究は三味線・唄・囃子・舞踊の関係性が横軸においてより明瞭になるような記述方法の検討をおこない、その確立を目指し研究発表をおこなうものである。この研究により以下のような研究意義が期待されている。 1.演奏者の総合的基礎資料 2.学校教育や邦楽指導の現場における伝統文化継承における基礎資料 3.音楽学的研究における基礎資料 現在までの研究は以下のように進められてきた。 1.総合譜化する楽曲の検討、選定 2.三味線及び唄譜の研究 3.囃子譜の研究 4.総合譜化する譜面書式の検討 舞踊譜を除く譜面の試作品はほぼ完了したものの、細かな記譜法の問題や多様を極める奏法の統一化の問題等、課題を残している。
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