2009 Fiscal Year Annual Research Report
三味線音楽における総合譜の作成と記譜法に関する研究
Project/Area Number |
20520117
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
三浦 正義 Tokyo National University of Fine Arts and Music, 音楽学部, 教授 (70323772)
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Keywords | 日本伝統音楽 / 総合譜 |
Research Abstract |
1『供奴』総合譜の作成と修正 全体で検討すべきスコアを改訂。各パート別に種々の問題点や、記譜法を考慮し修正を行う。 *三味線:細かな記譜方法の検討と修正 *長唄:唄の節の決定と、その表記方法の検討と修正 *笛:特に能管部分の表記を検討、修正 *打物:細かな表記方法の検討、決定 *舞踊:舞踊の一連の動きのどの部分をスコア化していくのか検討、また具体的な表記方法を決定しデザイン化 2『供奴』総合譜の試作 各パートの譜面を統合しスコア化し試作品を完成する。スコア化する段階で様々な問題が発生したが、第一段階の総合譜は完成に至る。特に問題になったのは、舞踊譜と楽譜のバランスの悪さで改善の必要性が話し合われた。 3『供奴』の総合譜の記譜法の作成 第一段階の総合譜における、全体と各パートのそれぞれの記譜法の作成を試みた。これも依然試作段階であり、検討修正すべき点が話し合われた。 この研究は三味線音楽(古典)の総合譜(スコア)を作成するものである。三味線・長唄・囃子(笛と打物)・舞踊の間には密接な関係があるが、現在までその全体を網羅した譜面と記譜法は存在せず、主に口承と記譜法の異なるパート譜のみで伝承されてきたといっても過言ではない。それは伝統芸能の持つ柔軟性にもよる所である。しかし、この状況は演奏者間の不都合を生み、また音楽的研究の見地からも作品研究の大きな遅れの一要因となっているといえる。三味線・長唄・囃子(笛と打物)・舞踊の関係性が明瞭に判る総合譜の確立も目指し、今年度には試作品の完成、そのスコアをもとにした舞踊、演奏のDVD化と研究磯関における発表を催す予定である。
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