2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520125
|
Research Institution | Kyoto City University of Arts |
Principal Investigator |
藤田 隆則 Kyoto City University of Arts, 日本伝統音楽研究センター, 准教授 (20209050)
|
Keywords | 音数律 / 謡曲 / 能 / 音曲 / 中世芸能 / 旋律 / 産み字 / ふし |
Research Abstract |
本年度は、代表的な謡曲の作品約50曲をとりあげ、それらの謡われる部分(いわゆるフシがついている部分)について、音数律を一覧できるかたちのファイルを作成した。音数律一覧には、句ごとの旋律の動きの骨組みを補助的にしるした。そのことによって、それぞれの作品の作曲上の特質が明らかになるであろう。作成した資料をつかっての考察は、次年度以降の課題である。 本年度の研究の過程で、謡の節がどのようにつけられているかを研究するためには、音数律の研究だけではなく、声点研究など、国語学の成果を取り入れることが必要だということがわかってきた。そのことに気づき、関連する国語学の資料を収集した。謡の旋律にとって、言葉のアクセントが重要な働きをしているということが、従来、伝書などの文言から指摘されているが、実際のところは、それほど重要ではない。むしろ、音色的な面、たとえば、どのような産み字をどの文字につけるか、といったことについては、国語の音韻とおおきな関係があることが予想されてきている。産み字ついては、音数律とも直接かかわってくることなので、今後、さらに注目していくべきことがらであることが、確認できた。 音数律を構造的に図式化する作業にくわえ、民俗芸能などにみられる旋律の構造にも、今年度はすこし目をむけた。同じ韻文の日本語をつかっているいくつかの中世芸能の観察をつうじて、謡の音数律の特徴、それに付される旋律の特徴を比較し、相対化する視点をえた。 これらの研究にもとづいて、口頭発表(能楽学会、日本伝統音楽研究センター公開講座等)をおこなった。予定されていた、海外での研究発表ははたせなかったが、次年度(2009年7月)におこなう予定である。
|
Research Products
(4 results)