2008 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本における西洋音楽の変容に関する研究-民俗芸能としてのラッパ文化-
Project/Area Number |
20520126
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
奥中 康人 Osaka University, 文学研究科, 招聘研究員 (10448722)
|
Keywords | 西洋音楽 / 民俗音楽 / 文化変容 |
Research Abstract |
今年度の研究は、主に長野県に於けるラッパ文化についての現地調査に費やされた。 まず、数回にわたる東京での資料調査(主に国会図書館所蔵資料)と七月下旬の長野県(主に県立長野図書館)における資料収集、および、長野県庁内消防委員会などで、長野県下における明治期、および大正・昭和期のラッパの普及、受容、レパートー等を確認した(もっとも、意外に残存する史料が十分でない事もあり、完全に把握できたわけではなく、これは今後の継続課題となっている。また、とくに明治期の史料の少なさは、実際にはラッパが存在していなかったこと、つまり、昭和初期以降-とくに第二次世界大戦後-になってはじめて爆発的に普及したことをうかがわせる)。 各市町村の消防団の史料からは、昭和30年頃から40年にかけてそれぞれの地域でローカルな範囲で、明治期の実際的な(つまり訓練や連絡手段としての)消防ラッパとは異なる、競技としてのラッパ文化の萌芽が認められる。近年(この十数年)長野県下では消防団によるラッパ吹奏競技が盛んなのだが、そうしたローカルな試みが県レベルでの大会を開催するまでになった経緯、長野県における「御柱祭」との関係については、次年度以降、数名の消防関係者への聴き取りによって明らかになる予定で(残念ながら、予定した一人のインフォーマントへのインタビューが身内の不幸のため実施できなかった)、当初の研究計画はおおよそ達成されている。また、フィ-ルドワークとして、ラッパ吹奏の競技会(長野県)、戦没者慰霊祭におけるラッパ吹奏(山形県)、浜松まつり(静岡県)等を取材し、西洋音楽の独特な文化変容の現場を映像に記録した。
|
Research Products
(3 results)