2009 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本における西洋音楽の変容に関する研究-民俗芸能としてのラッパ文化-
Project/Area Number |
20520126
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
奥中 康人 Osaka University, 文学研究科, 招聘研究員 (10448722)
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Keywords | 音楽 / 異文化接触 / 文化変容 |
Research Abstract |
(1) 長野県におけるラッパ文化の調査 継続調査として、長野県内における消防ラッパに関する資料収集およびフィールドワークをおこなった。本年度は、消防学校講師の市川五郎氏へのインタビューによって、これまで不明瞭だった戦後の長野県消防におけるラッパ隊の実態の把握、近年になっての競技会の成立までに至るプロセス等を知ることができた。長野県におけるラッパ文化は、明治大正期から連続するものではなく、昭和四十年代に再興され、規律の維持を重要目的としながらも、もはや通信技術ではなく音楽活動へシフトし、教則本の刊行、講習会・競技会の開催によって、ローカルな偏差はなくなり、吹奏技術のレベルアップに貢献している。 (2) 浜松市におけるラッパ文化の調査 継続調査として本年度はとくに浜松市早出町におけるラッパを集中的に調査した。早出町では、ラッパ隊創設時の初期段階に消防音楽隊関係者が指導をしたため、きわめて高レベルな技術水準を保っている。また、浜松市における他のラッパ隊とは異なり、レパートリーが多く、ハーモニーを奏でる。調査では、外から観察するだけでなく、実際にラッパ隊と同行し、町を巡り、民間芸能としての側面を体験することによって、その実態の理解しようとつとめた。 (3) 歴史的史料の調査 群馬県荒砥村の明治二十年代末の消防ラッパ譜など歴史的史料の分析を通じて、これまで不詳であった明治期における消防ラッパの実態を明らかにする手がかりを得た。もっとも、解明できない部分も多く、今後も継続して調査にあたる。
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Research Products
(1 results)