2010 Fiscal Year Annual Research Report
近現代ロシアにおける音楽とナショナリズム-オペラ、大衆歌曲、国歌にみる諸相
Project/Area Number |
20520129
|
Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
梅津 紀雄 工学院大学, 工学部, 講師 (20323462)
|
Keywords | ロシア / 音楽 / オペラ / 国歌 / 大衆歌曲 / ナショナリズム / 国民主義 / ソ連 |
Research Abstract |
平成22年度は、主としてソ連邦末期からロシア連邦にかけての状況について、「エリツィン時代の国歌をめぐる紆余曲折」「プーチン時代の国歌成立過程」「戦勝50周年・60周年と愛国主義」「《皇帝に捧げた命》の復活上演」などをテーマに資料収集を行ったほか、「グリーンカのオペラ《皇帝に捧げた命》の《イヴァン・スサーニン》への改作」のテーマにかんしても、補足調査を行った。また派生テーマである「帝政ロシア国歌の引用とソ連時代の改竄」についても合わせて検討した。総じて、帝政ロシア・ソ連邦・ロシア連邦の3つの体制の間における連続性と断絶を音楽の観点から考えることが今年度の中心的課題となった。すなわち、これらの体制転換と文化的ナショナリズムの問題が深く関わっていることの再確認を強いられるとともに、それらの間の連続性と断絶の問題が複雑で、容易ならざる問題であることを実感させられる一年となった,研究成果の一部については、平成22年7月8日に北海道大学スラブ研究センターで行われた国際シンポジウム"Orient on Orient: Images of Asia in Eurasian Countries"において、'Oriental Elements in Russian Music and the Reception in Western Europe: Nationalism,Orientalism and Russianness'と題して報告を行い、さらに考察を深める機会を得た。特に、音楽的ナショナリズムの問題は、オリエンタリズム、広くはエグゾティシズムとの関係を視野に入れて論じる必要性を実感した。この点に関しては、今後の課題としていきたい。
|
Research Products
(7 results)