2010 Fiscal Year Annual Research Report
第一高等学校寮歌の研究-寮歌にみる音楽文化活動の西洋化の過程-
Project/Area Number |
20520133
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Research Institution | Tokyo College of Music |
Principal Investigator |
下道 郁子 東京音楽大学, 東京音楽大学, 准教授 (50421110)
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Keywords | 音楽 / 寮歌 / 教育 / 日中文化交流 / 受容史 / 戦時下 / 第一高等学校 |
Research Abstract |
本研究の目的は旧制の第一高等学校の音楽文化活動を軸に、高等教育、特に教養教育における音楽教育の内容と意義を探求することである。3年目は、(1)明治~大正期の中国からの留学生と旧制高校との関連、(2)戦時下の第一高等学校の寮歌、(3)台北高等学校の音楽活動について調べた。(1)では、第一高等学校が初めて中国からの留学生を正式に受け入れたことに焦点を当てながら調査していく中で、当時は中国からの留学生が日本で西洋音楽を学んで中国に持ち帰り、唱歌教育の礎を築いたこと、またこれらの音楽留学生は音楽学校のみならず旧制高校や帝国大学で教養教育を受けたこと等が明らかとなった。(2)では、昭和16年から20年の終戦までの一高生の寮生活を、寮歌を軸に考察した。戦時下の寮歌には、詩の韻律や音楽において、平和だった大正時代や、戦勝国として勢いがあった明治時代とは異なる特徴が見られた。(3)では、外地の旧制高校の例として、校舎が現存され(台湾師範大学)、資料が比較的ある台北高校を対象として、校友会の音楽活動を、同窓会発行の文献資料から調査した。首都東京に在った一高と比較しても劣らない、活発な西洋音楽の受容と普及の活動が行われていたことが判った。また台湾の風土や民族性を取り入れた音楽活動も行われていたことが、理解された。研究発表は国内学会1回、国際学会1回、本は一章を分担執筆した。4月と10月に同窓会主催(一高玉杯会)による春秋の寮歌祭に参加し、寮歌の実演を録画によりデータとして記録した。本の分担執筆の為に、一高の卒業生に戦時下の寮生活についてインタービューを行い記録した。また、2年間の予定で、社団法人学士会が発行している隔月刊誌『U7』の連載「七大学をめぐる歌」の執筆を担当することになった。その為、12月~3月にかけては、連載1~2回目の「鳴呼玉杯」について、調査研究を行った。
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Research Products
(2 results)