2008 Fiscal Year Annual Research Report
ファッションイラストレーションにおける線画表現技法の研究
Project/Area Number |
20520136
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Research Institution | Bunka Women's University |
Principal Investigator |
長沢 幸子 Bunka Women's University, 服装学部, 准教授 (20261092)
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Keywords | ファッション / イラストレーション |
Research Abstract |
本研究ではファッションイラストレーションの線画表現技法について検討を進めている。 ファッションイラストレーションとは、マスメディアを通じて社会の中で機能することを前提としている絵であり、グラフィックデザインの中の一分野である。したがって、ファッションイラストレーションの議論の対象となる作品もマスメディアに発表されたものが中心となる。本研究では、日本のファッションイラストレーションの線画表現技法における現代につながる重要な要素は、まず江戸時代の浮世絵にあると考えた。その理由は以下の2点である。第一に、浮世絵の形式には(1)版本挿絵(2)一枚摺り(3)肉筆画の三形式があるが、木版画を主な表現手段として採用し、1枚の原画から、大量の複製を作り、安く、数多く流通させたこと、すなわちマスメディアを通じて発表・流通されたこと。第二に、浮世絵は、過去や未来ではなく、その時代の現実である「当世風」すなわち「浮世」を描いたことである。浮世絵の版画技法は墨摺絵、丹絵、紅絵、漆絵、紅摺絵、錦絵と進化してきた。浮世絵の人物表現の主なものは、美人画と役者絵である。これらの作品について、専門的な視点から検討を進めている。その結果、これらの作品は、現代のファッションイラストレーションの線画表現技法につながる要素を多く含んでいることが明らかになりつつある。なお、本論文内容をさらに精査し、2009年10月に韓国ソウルで開催される国際会議で発表予定である。
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