2009 Fiscal Year Annual Research Report
ファッションイラストレーションにおける線画表現技法の研究
Project/Area Number |
20520136
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Research Institution | Bunka Women's University |
Principal Investigator |
長沢 幸子 Bunka Women's University, 服装学部, 准教授 (20261092)
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Keywords | ファッション / イラストレーション / デザイン / スタイル / グラフィック |
Research Abstract |
本研究ではファッションイラストレーションの線画表現技法についての検討を進めている。ファッションイラストレーションとは、ファッションを表現した図版の総称である。平成21年度は、日本のファッションイラストレーションをメディアの視点から概観し、その意義を考察した。 江戸時代の浮世絵版画を出発点として検討を進めた。浮世絵版画の美人画と役者絵は木版画による大量印刷と流通により当時のファッションイメージを牽引した。明治期に海外から流入した石版画のポスターという新しいメディアは急速に浸透し、美人画ポスターが国内でも大量に制作されるようになり、この時期のファッションイメージを牽引した。また明治~昭和初期の少女雑誌の抒情画は、この時代の「少女」の人間像を視覚芸術として創り上げ、牽引した。太平洋戦争終戦後は庶民にも洋装が浸透し、ファッション雑誌にスタイル画が洋装ファッションの説明図として多く掲載された。また独自に制作きれたスタイルブックも出版された。これらは洋装のファッション情報とイメージを流通させ、洋装の文化の浸透に大きな役割を果たした。1960年代に入ると、日本でも写真が発達した。同時期にグラフィックデザイン界において、イラストレーションは美術表現として独立した。スタイル画は説明図の領域を脱し、ファッションイラストレーションとして益々進展した。ファッションイラストレーションはメディアに掲載されて発表・流通される以上、メディアの進化や特性によりファッションイラストレーションが影響されるという、両者が密接な関係にあることを明らかにした。 以上をまとめ、International Association of Societies of Design Research 2009にて成果発表を行った。
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