2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520139
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
加藤 寛 鶴見大学, 文学部, 教授 (70161114)
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Keywords | 工芸史 / 日本美術史 / 日本芸能史 |
Research Abstract |
今年度は、科学研究最終年度として過去2年間に調査できなかった中部および東日本に所在する蒔絵鼓胴を対象に調査研究を進めた。平成22年度の計画に基づき岐阜県飛騨高山に保存されている鎌倉時代の大小鼓胴および神楽面の調査を行った。対象となる資料は、建久2年に新築された鎌倉鶴岡八幡宮の鎮座祭において多好方により演じられた神楽「宮人の歌」の演奏および舞に使用された古楽器である。多好方はその後源頼朝により飛騨高山の地頭に任じられ、高山市の花山神社、荒城神社に分けてこれらの古楽器を奉納した。この楽器類は江戸時代に田中大秀が著した「飛騨国風土記」に当時の鼓胴の詳細な見取り図と状況が報告され、日本に残る唯一の由来の確かな古楽器として知られていた。国立能楽堂の開催した「住友コレクション」展では旧財閥の所有した室町時代の大鼓胴並びに桃山時代の小鼓胴など貴重な作品約15点を調査し記録作成を行い、報告書の内容を充実させることができた。また宮内庁正倉院事務所の補完する「五弦琵琶」の復元に伴う奈良時代の楽器調査から鼓の原型の作図および写真撮影など、貴重な調書を作成することができた。「五弦琵琶」は、中国より西域で作られ現在世界でただ一つの楽器とされている。それに伴う古楽器の現品を調査できたことは幸いであった。これらの写真撮影、作図作成により報告書の内容を充実させる情報となり、国立能楽堂、神戸市立博物館など今回の科学研究の協力機関にはデータの共有および作成資料の公開など合わせて協力を依頼し、科学研究最終年度のまとめとしたい。
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Research Products
(3 results)