2009 Fiscal Year Annual Research Report
インテリア空間に表出される精神の病みに関する調査研究
Project/Area Number |
20520146
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Research Institution | Takarazuka University of Art and Design |
Principal Investigator |
加藤 力 Takarazuka University of Art and Design, 造形学部, 教授 (40111992)
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Keywords | 芸術諸学 / 社会心理 / 人間生活産業 / 表層文化論 / 精神病理 |
Research Abstract |
本調査研究の特質上、今年度は予定した通りの調査対象者の協力が得られず、あらかじめの計画に沿った研究の実行が不可能な状態であった。そこで、主として、分析方法および、評価方法について、詳細に検討を行い、その方法と分析手法の確実性について、精度を高めることとした。それは、次の三つのマトリックス評価軸を作成、それらを-2から+2の5段階に分けて、この中で空間と精神の関連性、相関性について評価を行うこととした。 まず、要素軸(要素の多少)と時間軸(過去、未来)を組み合わせた評価マトリックスを設定。次いで表出軸(表出大小)と意識軸(自己、他者性)を組み合わせたもの。さらに構成軸(整理、混乱)と行為軸(受動、能動性)を組み合わせたものの3つの評価法を考案。この中で「通常域」と「分別域」さらに「偏向域」に定性・定量的に領域分けしてインテリア空間の表出状況をプロットした。そこから、「偏向域」に位置する事例について注目して取り上げて、精神の病みとの関連について解析を試みることとした。ただし、「偏向域」に位置する者が直ちに問題を持つ者か、ということでなく、3つの評価方法の相互関係の中から判断を求めることとした。本評価方法は、極めて独自性、新規性のある方法と、確信するものである。 また、メディア等で取り上げられた精神に病みを持つ者(秋葉原、埼玉、鳥取など)の住環境の周辺を参考として分析をおこなった。さらに、海外事例についての調査を実施した。 本年度(平成22年度)はさらに調査事例数を増やし、調査内容を充実したい。特に、引きこもり性を持つ者がさまざまな社会的犯罪を引き起こしていることから、こうした症状を持つ者を対象に調査事例を増やす予定である。
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