2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520147
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Research Institution | Hiroshima Institute of Technology |
Principal Investigator |
三村 泰臣 Hiroshima Institute of Technology, 環境学部, 教授 (60289262)
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Keywords | 白い布 / 敦煌莫高窟 / 楡林窟 / 観無量寿経変 / 備中荒神神楽 / 川名津神楽 / 死霊祭祀 / 神楽 |
Research Abstract |
民間人が暮らしの中で表象してきた芸術の一つに民間神楽がある。環瀬戸内海の民間神楽には、まだよく認識されていないが、東アジアの表象芸術と重なりあう点が多々観察できる。その一つが「白い木綿布」である。この白い布は東アジアの民間祭祀でもよく使用されている。本研究は東アジアの民間祭祀に使われる白い布の、使用分布・使用方法・使用目的を、日中韓の特定領域(長江中流域三角地帯、山東半島、朝鮮半島、環瀬戸内海の四領域)でフィールド調査し、それを比較考察し、日本の表象芸術が東アジアの表象芸術との連携によって成立・展開したことを実証することを目的とする。 平成20年度は環瀬戸内海と中国の調査を重点的におこなった。環瀬戸内海調査で有意義であったのは川名津神楽(愛媛県八幡浜市川上町川名津、2008.04.19〜20.)、備後荒神祭(広島県世羅郡世羅西町黒川、2008.11.09.)、備中荒神神楽(岡山県高梁市成羽町麻操、2009.01.02.)である。いずれも白い布が使われ、死霊供養のために行われていた様相を確認することができた。他に祝島神舞(08.08〜09.)、数方庭(08.09〜10.)、八注連神事(11.04.)、大乗神楽(11.22.)をはじめ、30数件に及ぶ調査を行った。中国は敦煌莫高窟を中心に浄土図を調査した(2008.09.13〜21.)。莫高窟で白い布は確認できなかった、楡林窟(甘粛省安西県)の42窟の第25窟南壁の観無量寿経変(中唐期の作)で白い布が描かれていることを唯一発見できた。この調査から、白い布が西方からもたらされたものでなく、東アジア民間祭祀の固有の表象物であることを確認することができた。また白い布が浄土図に描かれていることから、白い布が生死に深くかかわる表象物であることも確認できた。
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Research Products
(5 results)