2010 Fiscal Year Annual Research Report
定家本源氏物語・伊勢物語の本文成立史に関する横断的研究
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20520162
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
加藤 洋介 大阪大学, 文学研究科, 教授 (00214411)
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Keywords | 源氏物語 / 伊勢物語 / 定家本 / 本文 |
Research Abstract |
本研究は池田亀鑑『源氏物語大成』青表紙本校異および池田亀鑑『伊勢物語に就きての研究校本篇』・大津有一『伊勢物語に就きての研究補遺篇』・山田清市『伊勢物語校本と研究』という伊勢物語の三校本の補訂および増補作業を基盤とする。その作業の過程において、本文変化の様相や音使・表記といった点について、定家本伊勢物語における本文変化を時系列上で捉え、もってそれを定家本源氏物語の側への検証へと資することを目的とする。この研究目的を遂行するため、昨年度に引き続き上記の校本所収伝本の調査および収集を行ない、補訂および増補作業を実施した。 本年度は新出資料である飯島本源氏物語を研究対象に加えた。この飯島本藤袴巻は、定家本源氏物語の特徴の一つである奥入を付載しており、また本文の内実からみても、飯島本藤袴巻が大島本(古代学協会蔵)と同系統にあるきわめて資料的価値の高い伝本であることを明らかにした。これは上記1の校本増補作業の基盤の上に展開させた研究成果である。 また伊勢物語についても、室町期の書写にかかる伝肖柏筆本・伝心敬筆本・坊所鍋島家本の三伝本が、本文のみならずその表記等においても同一系統の伝本である特徴を留めていることを明らかにし、論文発表をした。本文の異同状況に加え、こうした表記等を分析の対象とすることで、その伝本の性格をより明確にすることができるという研究方法の実践例である。これもまた上記の校本増補作業に基づく研究成果である。
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Research Products
(4 results)