2009 Fiscal Year Annual Research Report
近世仏教説話集と寺院所蔵文献に関する研究-蓮体の著作と河内地蔵寺を中心に
Project/Area Number |
20520163
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
山崎 淳 Nihon University, 生物資源科学部, 講師 (20467517)
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Keywords | 蓮体 / 地蔵寺 / 寺院所蔵文献 / 近世文学 / 説話集 / 仏教文学 / 経典講義(講経) |
Research Abstract |
1、前年度に引き続き、作業の中心としたのは、地蔵寺所蔵文献の調査である。原則として、箱番号の順に全蔵書の悉皆調査を行った。この形では11箱分を調査済みだが、これも前年度と同様、蓮体(及び師の浄厳)の著作が集中する2箱分、また、特に重要と判断した資料についても調査を進めた。それらの中には、蓮体の伝記研究に有効なもの、寺院経済に関わるものなど、当時の蓮体を取り囲む環境をより鮮明にする興味深い文献資料も多数見出された。さらに、これまでに確認されていなかった資料も、悉皆調査の中で新たに見出すことができた。 2、悉皆調査の結果(カード化している)を、前年度作成した仮目録に反映させることで、より詳細な「地蔵寺所蔵文献目録」の作成を進めた。現時点で調査の済んだ資料については、目録への転記は完了している。 3、調査の成果の一部について、3本の論考を公表した。それらの論考では、地蔵寺所蔵の説話集の翻刻・紹介、同寺所蔵の経典講義(講経)に関する蓮体の自筆記録の考察(翻刻を含む)、同寺所蔵文献に見える蓮体自筆の書き込みと講経との関係の考察を行った。これらの文献が、蓮体の説話集を生み出すまさに基盤となっていたことを跡付けできた点で、文学作品の成立と寺院所蔵文献との密接な関係がより明確になってきたと言える。 4、地蔵寺の他、大学図書館を中心とする諸機関が所蔵する関連資料を調査した。特に蓮体の利用した同時代文献については、諸本調査を行い、その結果を上記の論考の中に生かすことができた。
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