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2010 Fiscal Year Annual Research Report

鎌倉幕府と説話伝承文学との交渉についての研究

Research Project

Project/Area Number 20520169
Research InstitutionOsaka City University

Principal Investigator

小林 直樹  大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 教授 (40234835)

Keywords吾妻鏡 / 源頼家 / 北条泰時 / 狩猟伝承 / 北条時頼 / 無住 / 武家新制 / 撫民
Research Abstract

本年度は、鎌倉幕府の準公的な歴史書『吾妻鏡』の説話伝承的記事の分析からその編纂意識を明らかにしようとする研究と、鎌倉期の説話集編者・無住の著作に鎌倉幕府の政策の投影を見ようとする研究の双方を行った。
まず前者については、『吾妻鏡』中の源頼家をめぐる狩猟伝承と北条泰時の類似の伝承の比較検討、さらには泰時の孫にあたる経時・時頼兄弟の狩猟関連記事の検討を通して、『吾妻鏡』が武士の将来の明暗を矢口祭と関わらせて暗示したり、明暗の分かれる人物を対比して叙述したりという手法を方法的自覚のもとに行っていることを明らかにした。本研究は、『吾妻鏡』全体を統括する編纂意識を闡明するにあたり、頼朝・頼家・実朝・頼経の四代の将軍記に亘って存在する北条泰時の記事がその鍵を握っているとの見通しのもと、「泰時伝説」との関わりにおいて『吾妻鏡』の説話伝承的記事を考察することの有効性を示そうとした点に重要な意義を有する。
次に後者については、無住の著作『沙石集』の撫民的記事に着目し、それらの記事が武家新制の発布された北条時頼の時代に形成された可能性の高いことを分析した。その当時、無住は西大寺流の律宗と深い関わりをもっていたが、律宗の教義は武家新制と親和性が高く、無住は新制によって喚起される撫民的な社会的雰囲気を強い共感をもって受け止めていたものと推定する。本研究は、無住の精神形成を鎌倉幕府の施策との関わりにおいて捉えようとする、従来にない視点からの考察であり、その意義は大きい。

  • Research Products

    (3 results)

All 2011 2010

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 『吾妻鏡』における頼家狩猟伝承-北条泰時との対比の視点から-2011

    • Author(s)
      小林直樹
    • Journal Title

      国語国文

      Volume: 80-1 Pages: 1-20

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 無住と武家新制-『沙石集』撫民記事の検討から-2011

    • Author(s)
      小林直樹
    • Journal Title

      長母寺開基無住和尚七百年遠忌記念論集

      Volume: (掲載確定)

  • [Presentation] 無住と武家新制2010

    • Author(s)
      小林直樹
    • Organizer
      名古屋大学比較人文学先端研究
    • Place of Presentation
      名古屋大学
    • Year and Date
      2010-12-24

URL: 

Published: 2012-07-19  

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