2010 Fiscal Year Annual Research Report
『とりかへばや』伝本の流布状況を視点とした江戸時代における物語享受の研究
Project/Area Number |
20520170
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
西本 寮子 県立広島大学, 人間文化学部, 教授 (70198521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤迫 照子 広島大学, 大学院・文学研究科, 研究員 (70452612)
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Keywords | 国文学 / 中世王朝物語 / とりかへばや / 物語享受 |
Research Abstract |
最終年度となる22年度は,21年度に引き続いて,『とりかへばや』および『浜松中納言物語』等の未調査伝本についての情報収集と調査につとめた。『とりかへばや』については実際に調査し得たのは大洲市立図書館蔵本(文化2年中島満自筆),国文学資料館新収南三木氏旧蔵本にとどまった。尊経閣文庫蔵本については国文学研究資料館において公開されているマイクロフィルム及び紙焼き写真での閲覧を続けたが,朱筆の有無については実見して確認した。また龍門文庫蔵本については,Web上で公開されている画像で閲覧することによって,過去の調査の遺漏を補った。大洲本については,改作本系統の伝本に分類できるほどの異同は確認できないものの,独自の異文が数カ所含まれていることが確認できた。 『浜松中納言物語』については宮内庁書陵部蔵本,東京大学蔵本,大阪府立中之島図書館蔵本,京都大学大学院文学研究科図書館蔵本および関連資料について補足調査を含めて調査を行った。調査結果を踏まえた研究成果の一部については,論文執筆や研究会での報告に際して必要に応じて盛り込み,情報交換と先学の助言を仰ぐことに努め,所蔵情報などについての貴重な助言を得た。また,天理図書館蔵の一本に書き入れを残す五十嵐篤好の文学関係事績について情報を得たほか,和学者相互の伝本授受に係る情報を得,文人ネットワークを通じて伝本が広まったことの一端が確認できた。 3年間の成果については,今後も収集データの整理を終えたものから論文に盛り込む形で公表する予定であるが,未紹介資料の翻刻および共同研究者,研究協力者の論考を含めて一冊にまとめ,一応の成果報告書を作成した(「『とりかへばや』伝本の流布状況を視点とした江戸時代における物語享受の研究」,平成23年3月発行)。
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Research Products
(3 results)