2010 Fiscal Year Annual Research Report
近代中国の口語散文に与えた日本文学の影響ーー周作人の日本文学受容をめぐってーー
Project/Area Number |
20520172
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Research Institution | Hirosaki Gakuin University |
Principal Investigator |
顧 偉良 弘前学院大学, 文学部, 教授 (50234654)
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Keywords | 周作人と日本 / 周作人と武者小路実篤との交流 / 大江健三郎と戦後文学 |
Research Abstract |
昨年度は、中国国内の雑誌『紹興魯迅研究2010』(紹興魯迅記念館編)に、連載論文「浅析周作人的思想与文学方法(二)―新詩集《小河》的島托邦思想及其他」(周作人の思想と文学方法(二)―詩「小河」のユートピアの思想をめぐって)を発表した。本論文は、周作人と武者小路実篤らの行った実践運動「新しき村」との交流および周作人の新詩集『過去的生命』をめぐって、周作人の詩作に見られるユートピアの思想と武者小路実篤のコスモス思想との影響について考察したものである。その他に、論考「浅析周作人的思想与文学方法(三)―詩体模倣与俳譜趣味―」(『紹興魯迅研究2011』(紹興魯迅記念館編、2011年9月刊行予定)がある。 そして、論考「近代中国の口語散文に与えた日本文学の影響(二)―周作人の日本文学受容をめぐって」(『弘学大学語文第37号』)を発表した。この論文では、一九二〇年代における周作人の文学活動をめぐって、(一)民国初期の文学諸事情、(一)新文学運動の推進および評論活動、(三)日本文化研究の提起をめぐる周作人の評論活動について考察した。 なお、大江健三郎の研究として、論考「「遡行する思考」―大江健三郎を読む―」(『弘前学院大学文学部紀要第47号』)を発表した。この論文は、建築と小説の仮想空間をめぐって建築家磯崎新と大江健三郎について考えてみる。大江文学における周縁文化および「他者性」、初期小説の「私」の内部世界について考察し、『M/Tと森のフシギの物語』をめぐって女性的なる想像力について検証した。また、井上靖研究に関する論考「遙かなる呼び声・記憶の旅『異国の星』をめぐって」(『井上靖研究』第10号、井上靖研究会編、2011年7月刊行予定)がある。 その他に、中国の現代作家蕭乾回想録の論考「生命と創作―『地図を持たない旅人』を読む」が、『百年蕭乾』(共著、内モンゴル大学出版社)に掲載された。この論考は中国国内の雑誌『学人』に転載。
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