2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520178
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Research Institution | Shirayuri College |
Principal Investigator |
井上 隆史 Shirayuri College, 文学部, 教授 (10251381)
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Keywords | 国文学 / 文学論 |
Research Abstract |
三島由紀夫の手稿資料について、その翻刻、内容分析、三島文学(をはじめとする日本文学)研究における意義、および手稿研究の方法論の検討などを行った。その際、La genesedu texte,Ecrire Madame Bovary,Plans et scenarios de Madame Bovaryなどの著書を参考に、フランスにおける草稿研究の手法と比較の上で検討を試みた。 具体的には、三島由紀夫の小説「金閣寺」の創作ノートを取り上げ、その内容を主題、構成、筋立、取材に関するメモなどのカテゴリー毎に分類し、三島がそもそもどのような構想を抱いて小説執筆を行ったのか、その経緯を明らかにした。さらに、そこで明らかになった文学と想像力をめぐる問題について、これを世界文学史の広い文脈の中に位置づけることも試みた。 また、平成21年度の研究の準備として、小説「豊饒の海」に関し、創作ノートの一部の翻刻および、仏教(唯識論)との関連についての若干の考察を行った。 他に、三島由紀夫の映画「憂国」の手稿撮影台本を分析するために、「憂国」映画化の関係者に取材し、また「憂国」映画化に際して三島が能の様式を用いたことから、三島と能との関係についても、再検討を試みた。また、手稿研究の方法論の検討に関しては、フランスにおける生成論の立場を多角的に検討するため、文献学、解釈学等との関わりについても考察した。
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Research Products
(3 results)