2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520192
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Research Institution | Kobe College |
Principal Investigator |
藏中 さやか Kobe College, 文学部, 教授 (80309426)
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Keywords | 国文学 / 中世 / 和歌文学 / 歌題集成書 / 題詠 / 組題 / 明題古今抄 / 和歌組題集 |
Research Abstract |
前年度から引き続き、種々の歌題集成資料の分析にあたり、諸資料間の繋がりや個々の資料の記載内容について考究した。 一連の研究の中で、特に増補版(延享四年(一七四七)刊、世外子編)で知られる版本『和歌組題集』の祖型として、中世の歌題集成資料が用いられていること明かにした。 この祖型とおぼしき歌題集成書には、『十首題』(篠山市青山・384、奥書「以飛鳥井栄雅直筆令書写畢」。天和三年写)、『[和歌組題集抄]』(龍谷大写字台文庫・911-203-27、外題『和歌題林抄』カ)、『明題抄』(書陵部・56830-656、延宝三年写)、日比野浩信氏蔵本(題欠)などがあるが、これらは統一した書名をもたない。恐らく、無題もしくは佚題の形で流布し、各々に外題を付与されたのであろう。またこれらに非常に近似する内容は、高松宮家伝来禁裏本として国立歴史民俗博物館に蔵される『組題集成』二冊(1249-ミ函57)内の一冊(外題『五十首 三十首 二十首 十五首 十二首 五首組題抜書』)中にも認められる。私見に拠れば、同冊は中世末期の書写奥書を有するものを含む七種の歌題集成書類を合せ写したものである。当該部分は「袖中題鈔」という内題をもち、『歌書目録』(書陵部・102-128)「恋」の部記載の『袖中題抄』という一書に相当するものかと思量される。 散佚書とされてきた歌題集成書をも書写する歴博本『組題集成』内の一冊については、今後も引き続き取り上げていく予定である。
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Research Products
(3 results)