2010 Fiscal Year Annual Research Report
使者文学の基礎的研究ー戦国・島原の乱を中心としてー
Project/Area Number |
20520198
|
Research Institution | Ibaraki Women's Junior College |
Principal Investigator |
武田 昌憲 茨城女子短期大学, 国文科, 教授 (00221375)
|
Keywords | 島原の乱 / 東北大図書館 / 佐賀県立図書館 / 仙台藩 / 紀州藩 / 島原略記 |
Research Abstract |
佐賀県立図書館の鍋島文庫の調査を行ったが、『島原略記』を閲覧・複写できた。同図書館と鍋島文庫には島原の乱関係の写本が多くあり、今後の研究が必要である。調査できたのは時間の関係で複製写真本中心に『島原一揆』『有馬戎役記』『有馬記拾落』(数本ある)等十作品であったが、使者の記述はほとんどなかった。 使者については『諸国より使者之次第』(『原史料で綴る天草島原の乱』収)に諸藩からの使者が記されているが、紀州藩の場合は「頭分」として七名が冒頭に記されている。「頭分」以外の家臣はどのくらい参加したのか不明。また。紀州藩は瀬戸内の兵員・兵糧を運送するために、多くの船と船員を動員している。これらも後方支援の影響として、無視すべきだはないと思われた。乱の影響は陸海両面で広範囲である。 東北大学図書館・狩野文庫の『島原記録』四巻四冊の中の第四冊目の「島原ヘノ使者並諸手手負討死留」では、寛永十五年元旦の原城攻めの使者衆の死傷者についてと、二月二十一日、同二十七・八日の死傷者について記されている。『諸国より使者之次第』と異なる諸藩の使者が多く記されていて、諸藩の使者衆の一部が特定できる状態であるが、全容はまだ不明である。諸藩の記録は、必ずその藩から「使者」が現地に派遣されているはずであるが、少しずつ具体像が明らかになっている。尚、仙台藩の使者の直接の記録を期待したが、未だに発見できない。使者文学という評価までできる作品は今回は認定出来なかった。引き続き探索したい。
|
Research Products
(1 results)