2011 Fiscal Year Annual Research Report
使者文学の基礎的研究ー戦国・島原の乱を中心としてー
Project/Area Number |
20520198
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Research Institution | Shokei University |
Principal Investigator |
武田 昌憲 尚絅大学, 文化言語学部, 教授 (00221375)
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Keywords | 島原の乱 / 東京大学史料編纂所 / 寛永重修諸家譜 / 硯田叢史 |
Research Abstract |
東京大学史料編纂所蔵の大河内家記録群に島原出兵記事が大量にあることに気づく。大河内家は島原の乱に出動した幕府の上使松平信綱の家である。姓が異なるのでこれまであまり注目されることはなかったが、関連記事が二十以上あるので今後も調査が必要である。 佐賀県立図書館蔵の島原の乱関係軍記の調査も引き続き行なった。その過程で『太平記評判』の影響も以前から関連付けてみてきたが、同館所蔵の『献祖遺跡有馬日記附』(同館所蔵名『有馬一乱日記』)に関連記事が見つかったので、副産物として発表しておいた。 大分県立図書館にも島原関係軍記が散見されるが、特に硯田叢史にある書物は今後の戦国・近世軍記研究に有益と判断されるが、原本が大分県先哲史料館と大分県公文書館に分置され、今後の研究に時間がかかることが予想された。 使者の数と活躍を調査するための基本資料として『寛政重修諸家譜』から島原の乱に派遣(出兵)された武士を抽出したところ79名にのぼった。 同じく藩の出兵記事を調査したところ、暫定ではあるが正式出兵も含めて少なくとも50藩以上になることがわかった。今後も調査を続けていく必要がある。北は陸奥国・仙台(伊達藩)から南は薩摩国・鹿児島(島津藩)まで、全国的な規模で出兵していることがわかった。幕府は事件を小さく見せようとして初期から「一揆」を使用しているが、その実は「乱」の装いが強い全国を混乱と緊張で巻き込んだ事件であることが認識された。新旧一万以上の市町村史、諸藩の記録、家伝記録類を丹念に精査していくことが必要であるが、今後の継続課題としたい。
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Research Products
(4 results)