2008 Fiscal Year Annual Research Report
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20520200
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Research Institution | Saga Women's Junior College |
Principal Investigator |
長澤 雅春 Saga Women's Junior College, キャリアデザイン学科, 教授 (00310920)
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Keywords | 朝鮮教育 / 朝鮮総督府 / 植民地 / 国語 / 教科書 / 言語政策 / 国語読本 / 日本語教育 |
Research Abstract |
当該年度は、日本あるいは朝鮮総督府による朝鮮教育の思想や教育制度を窺うことができる資料について調査を試みた。たとえば、朝鮮教育雑誌『文教の朝鮮』(大正14〜昭和17)、朝鮮総督府文書課発行『朝鮮』(大正11〜昭和17)をソウル国立中央図書館及び釜山市立市民図書館において複写を行った。これら教育雑誌は、齋藤実総督以下の朝鮮教育の全体像を俯瞰するうえでも重要な雑誌となっている。また、朝鮮教育に携わる官僚はそれぞれ己の朝鮮教育観を記述しているが、第1次朝鮮教育令期の『朝鮮教育論』(幣原坦)『朝鮮教育の沿革』(朝鮮総督府)や、第2次朝鮮教育令への転換期の『朝鮮の教育』(弓削幸太郎)、2次教育令施行後の『朝鮮教育制度史』(小田省吾)、満州事変後の『朝鮮教育の側面』(渡邊豊日子)など、朝鮮教育制度の背後にある学務官僚の時系列的な思想について知ることができる。これらを学務課が編纂する『朝鮮教育要覧』等総督府発行本と併せれば、政策的朝鮮教育のありように接近することができる。ただ、朝鮮教育についての日本国内の動向についてはまだ調査できていないため、今後はこの問題についても考えていきたい。『文教の朝鮮』巻末に毎号記載される無数の朝鮮人教育者にたいする功労表彰は、朝鮮教育は実質的に多くの朝鮮人教師に頼ることで行われていたことを物語る。教科書編纂は、日本語をネイティブとしない多くの朝鮮人教師の使用に耐えうることを前提として編纂されなければならないことになる。また、当該年度は、朝鮮教育の背景となる併合下の朝鮮社会の実態調査も必要であるため、釜山市立市民図書館に蔵される朝鮮政策論的資料の収集も行った。
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