2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520200
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Research Institution | Saga Women's Junior College |
Principal Investigator |
長澤 雅春 佐賀女子短期大学, キャリアデザイン学科, 教授 (00310920)
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Keywords | 朝鮮教育 / 朝鮮総督府 / 植民地 / 国語 / 教科書 / 言語政策 / 日本語教育 |
Research Abstract |
平成23年度は、朝鮮総督府編纂『普通学校』教科書から、『修身書』(生徒用巻1~巻4)の第1期発行(1915~)と第2期発行(1918~)教科書の異同調査を行った。この第1期本と第2期本はほぼ同じ課目によって構成されているが、第1期本は、併合(1910)と朝鮮教育令(1911)を受けた急ごしらえの編纂によるものであるため、第2期本では状況に鑑みて修正の必要があったと考えられる。当該年度研究では、それがどのような修正がなされたのかを、仮名遣いや送り仮名、そして文の修正について調査してみた。その修正項日について以下に観略すれば、(1)送り仮名の変更、(2)活字体の変更、(3)皇室への尊敬語の強化、(4)読点句点の変更、(5)語句の変更、(6)語句をより口語化、(7)指示語の明確化、(8)敬語の修正、(9)促音仮名文字を小文字から大文字化、(10)誤植の訂正、(11)助詞の変更、(12)文語表現の口語化、(13)連用形を促音化させて口語化させる、(14)読点の加点、といった点が挙げられる。この中で修正個所が顕著に見受けられるものは、(6)(12)(13)など口語表現への修正である。ここには教科書編纂に携わる学務課の「口語表現化への意思」を窺うことができるだろう。ただ、修正個所が必ずしもすべて効果的であるとは言い切れず、後退したと思われるものも少なくないし、修正が必要であったかどうか判断に苦しむものもある。以上は概略的な報告であるが、平成23年度調査においては、『修身書』のみならず『国語読本』も含めて調査してみることとする。また、平成22年度は、平成21年度購入の復刻『京城日報』をさらに買い増して朝鮮教育関連記事目録を作成中である。研究成果公開サイト「近代日本と韓国・朝鮮半島」(http://swjc.saga-wjc.ac.jp/~nagasawa/) では、これまで収集した朝鮮総督府教科書データベース、国立中央図書館蔵書目録データベース、及び教科書本文のテキスト化を公開中である。
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